米国:人道支援の犯罪視をやめよ

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2019年5月30日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:米国
トピック:難民と移民

米国司法省は、人道支援ボランティアのスコット・ウオレンさんに対するすべての告発を取り下げ、人道支援を犯罪扱いするのをやめるべきである。

ウオレンさんは、自宅があるアリゾナの砂漠の町アホで、非正規移民2人に対して、食料、水、衣服などの物資を与えるなど支援した。これらの行為が、「不法入国者をかくまった」など3つの容疑にあたるとして起訴された。

すべての容疑で有罪となれば、実刑20年を受けるおそれがある。裁判は、5月29日に始まる。

国は、砂漠地域での移民や庇護を求める人びとの不慮の死を防止し、命を守る法的義務がある。にもかかわらず、ボランティアの人道活動に横槍を入れ、配給物資を廃棄し、人命を守る取り組みを阻止している。

人道支援は、決して犯罪ではない。アムネスティは、ウオレンさんに対する告発を取り下げるよう求める国際キャンペーンの一環として、複数の米国関係当局に公開書簡を送った。

15年前、アリゾナ州で人道支援のボランティアが同じように告発されている。アムネスティは当時も政府を批判したが、これからも、国が権力の乱用をやめるまで反対し続ける。国は、移民への人道支援を「密入国」と「蔵匿(犯罪者などをかくまうこと)」の罪の対象から除外すべきである。

ウオレンさんは今年初めにも、移民支援団体「ノー・モア・デス」のボランティア8人とともに、移民を支援して軽犯罪で起訴されている。砂漠で命を落とす人が多いため、砂漠地域を移動する移民のために水などの物資を砂漠に置いておいたことが、「不法侵入」と「ごみのポイ捨て」とみなされたのだ。

アリゾナ州は、国境地帯の中で最も死者が多い。国境管理当局によれば国境に接する地域全体の死者は過去20年間で7,242人、その38.3%がアリゾナで発生している。地元のメディアや団体によると、実数はさらに多い可能性が高い。実際、国境管理当局は、ボランティアが通報した遺体数を必ずしも集計に加えているわけではない。

ウオレンさんたちによるボランティア活動は、砂漠で移民や庇護を求める人びとの生存権を守る上で極めて重要な人道支援である。

アムネスティ国際ニュース
2019年5月21日

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