- 2019年12月 5日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イラン
- トピック:
11月15日にイランでデモが始まって以来、市民の死者は少なくとも143人に達した。そのほとんどが、治安部隊が銃器など殺傷武器を使用したことによるものだった。急増する死者数は、治安部隊がいかに非情で殺傷もいとわないかを示している。
国際社会は、この対応を厳しく非難しなければならない。
イランの治安部隊のデモ対応について、これまで国連人権高等弁務官、EU、多数の国々が、その過剰な実力行使を非難してきたが、殺傷力の高い武器の使用に対する批判の声は上がっていない。その証拠が、多数あるにもかかわらずだ。
目撃者や犠牲者家族の話、イラン国外の人権活動家やジャーナリストからの情報、動画などから、治安部隊が、何の脅威も受けていないにも関わらず、デモ参加者に銃を向けていたことは明白だ。司法省ビルの屋上から路上のデモ隊に発砲している映像もある。
国際社会は、デモに参加する市民への、この卑劣な対応を最大限、強い言葉で非難しなければならない。
治安当局は多くの場合、遺体を家族に渡さなかった。遺体が安置所から持ち出され、どこに移されたのかが不明なこともあった。遺体を渡した場合でも、まさにその当人を死に至らしめた銃弾の費用や抗議活動による器物損壊の賠償として、金銭を要求されたという報告もある。
また、当局は、犠牲者家族に対し葬儀を行ったり、報道機関に話したりすれば、逮捕すると脅している。
国際法では、殺傷力の高い武器の使用は、身に危険が差し迫り、他に身を守る手段がない場合に限り、その使用が認められている。
一部のデモ参加者が暴力に訴えたとしても、治安部隊には常に自制を求められ、暴力行為への対応には、必要かつ合目的、合法的でなければならない。
※追加情報:死者数は、12月2日時点で208人に達した。
アムネスティ国際ニュース
2019年11月25日
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