- 2020年3月 6日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:スリランカ
- トピック:地域紛争
(C) LAKRUWAN WANNIARACHCHI/AFP/Getty Images
スリランカが2月下旬、内戦後の和解などを促進する国連人権理事会決議への協力を反故にする決定をしたことに対し、アムネスティは人権理事会に対し、犠牲者が手にすべき正義を保障する国際的な枠組みの構築を求める。
国連人権高等弁務官も、最新のスリランカに関する報告の中で、人権状況に関する約束が後退する懸念を示している。
人権理事会への協力は、前政府が明言していた。
2015年、国連人権理事会は、スリランカにおける和解、説明責任、人権を促進する決議30/1を採択した。
この決議の中で、当時のスリランカ政府は、人権侵害などの申し立てを捜査する特別検察官を置く司法機構、誠実で公正な人物が率いる司法機関の設置などを約束し、英連邦など国外の裁判官らの参加も視野に入れると表明していた。
しかし、今に至るまで、約束した司法機構や機関は設置されていない。
そして今回、昨年誕生した新政府は、国連人権委員会決議に協力しない意思を明確に打ち出し、決議の共同提案の立場の破棄を表明した。そして、「自前の制度下で包括的で和解と説明責任を果たし、持続的和平づくりに国を挙げて取り組む」との声明を出した。
だが、スリランカはこれまで、30年近くに及んだ内戦時の人権侵害の被害者らへの説明責任を果たす体制など作らず、彼らを失望させてきた。多くの被害者は何年も待ってきただけに、その失望も大きかった。
スリランカが国連との約束を反故にしたことに対して、人権理事会は、紛争の被害者らに正義を実現するための実効性ある国際的仕組みの構築に向けて、強い姿勢を打ち出すべきである。
近年、スリランカ政府の正義への取り組みに限定的ながら前進があったが、その取り組みが後退するおそれがある。この数カ月間をみても、人権団体やメディアの関係者が、嫌がらせや脅迫を受ける事件が発生し、市民団体が活動しづらくなっている。
アムネスティ国際ニュース
2020年2月27日
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