- 2020年6月10日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:米国
- トピック:
(C) Getty Images
トランプ大統領は6月1日、黒人男性の死亡事件をめぐり拡大する抗議デモに対して「暴力は断固阻止する」と訴えたが、ジョージ・フロイドさんの首を膝で押さえ続けたような警官の暴力こそ、阻止すべきだ。トランプ政権の黒人差別は本当に恥知らずだ。大統領は、保護に値すると彼が考える一部の人たちだけでなく、全国民を守ると誓ったはずだ。
フロイドさんは、警官の暴力の犠牲になった。失われた命は戻らない。遺された家族に対してできることは、彼の死に対する責任を徹底的に追及することだけだ。だが、憎悪を駆り立てるのに余念がない政権は、これまでも説明責任を蔑ろにしてきた。
人びとは怒り、疲弊している。
人びとには、街に出て平和的に抗議する権利がある。誰もが持つ権利だ。正義と警察の組織改革を求める権利も奪われてはならない。
横暴な警官が市民を恐怖に陥れるようなことは、二度とあってはならない。だが、みなのためにあるはずの警察が、一部の人びとのためだけにあるようだ。
大事なのは、黒人の命だ。黒人のトランスジェンダー、黒人の移民、黒人の庇護希望者の命である。しかし、今回トランプ政権が取った対応は、米軍の出動準備だった。
今対応すべきは、正義を曲げて黒人をあからさまに抑圧してきた社会の仕組みを改めることだ。
米国の治安維持体制は破綻している。人種差別の膿を出し切り、法の執行と人権への対応に対する抜本的見直しが不可欠だ。人命を奪うほどの過剰な力の使用を制限する法案の可決もその一つだ。これらの改革が実現して初めて、黒人の命も大事であり、黒人にも安全・正義・自由な暮らしがあるという思いが社会に生まれる。
アムネスティ国際ニュース
2020年6月1日
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