- 2020年6月20日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:中国
- トピック:
(C) Getty Images
6月18日から開催される全国人民代表大会(全人代)常務委員会を前に、アムネスティ・インターナショナルを含む86の市民団体は、国家安全法の香港導入は「人権に対する壊滅的な攻撃だ」として撤回を強く求める共同書簡を公表した。
国家安全法の草案は常任委員会で審議入りし、早ければ6月にも施行され、即日、香港人の自由の取り締まりに適用されるおそれがある。
書簡は常務委員長に宛てたもので「中国は、国家安全法の内容に関して詳細をほとんど明らかにしていないが、これまでに得た情報から、香港市民の基本的権利と自由を脅かすものと考えられる」と指摘。「香港政府に対する批判を含む広範囲で定義があいまいな違反行為を犯罪としており、平和的に人権を行使する者、人権を擁護する者も対象となりうる」と強い懸念を表明している。
5月下旬の全人代で可決された国家安全法の導入決定では、「国家分裂行為、国家転覆行為、テロ行為」「外国の香港問題への内政干渉」活動を非合法化することが提案された。
法案は来週開かれる常務委員会の特別会議で審議されると見られており、その後、施行される可能性がある。
香港の李家超(John Lee Ka-chiu)保安局局長は、「取り締まりは、施行初日から始まる」と述べ、常任委員会の梁愛詩(Elsie Leung)委員は、「過去に遡った適用も排除しない」と話す。
中国は、国家安全法の香港への導入を断念すべきである。いかなる政府も、市民への抑圧的措置の正当化に、国家安全法を適用してはならない。
5月の導入決定では、国家安全法のもと中国が国家の安全を守る機関を香港に設立できるとしている。中国の公安部や国家安全部にあたる機関が設立されかねないのだ。両機関とも、反体制活動家らの恣意的拘禁や拷問など重大な人権侵害で知られている。
香港でこの種の機関が活動すれば、人権活動家や独立系メディアのみならず、すべての香港人が取り締まりの脅威に直面することになる。
香港の鄭若驊(Teresa Chen)司法長官は、「未知の領域の司法が円滑に進むよう、国家の安全を取り扱う特別法廷の設置も視野に入れている」と話す。そうなれば、容疑者は香港の司法と同等の公正な裁判を受けられなくなることが懸念される。
法案は、香港特別行政区立法会に諮られることなく、公の協議もないまま発布され、香港で施行される。
全人代で決定された導入方針では、国家安全法を香港基本法の付属文書に加える形となっており、人権保護に重大な懸念が生じる。
国際人権法の順守を求める諸要件が盛り込まれていない限り、当局があいまいな定義の同法を乱用して、権利と自由を抑圧できるようになってしまう。
アムネスティ国際ニュース
2020年6月17日
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