サウジアラビア:G20首脳はこの国の偽善に乗るなかれ 今も獄中で苦しむ女性活動家たち

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2020年11月19日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:サウジアラビア
トピック:女性の権利

© Marieke Wijntjes / Amnesty International
© Marieke Wijntjes / Amnesty International

11月21日・22日、G20首脳会議がオンライン形式で開催される。議長国のサウジアラビアは、表向きは女性の権利を擁護するかのような施策を打ち出す一方で、女性の権利運動の活動家たちを逮捕・拘禁し、苦痛の日々を強いるという偽善を演じている。

サウジアラビアは、会議の主要テーマの一つに女性を含むすべての人びとのエンパワメント(本来ある力を取り戻す実践)を据えるが、参加各国は、議長国の恥知らずの偽善を強く非難すべきだ。またアムネスティは、人権活動で一昨年逮捕され、現在も勾留されている活動家の即時無条件の釈放を求めてきた。各国首脳に対し、この釈放要求に賛同するよう強く求める。

2018年から勾留されているのは、ルージャイ・アル=ハスルールさん、ナシマ・アル=サダさん、サマル・バダウィさん、ヌーフ・アブドゥラジズさん、マヤア・アル=ザフラニさんの5人だ。

サウジアラビアにとって、今回の首脳会議は重要な意味を持つ。同国の改革政策を世界に向けて打ち出し、外国企業の事業を呼び込む好機だからだ。しかし、この国は、真の改革者たちを拘束しているという現実を放置したままだ。

G20首脳は、サウジ政府のうわべだけの施策に惑わされることなく、首脳会議を、女性の権利向上を訴えたがために自由を剥奪されている人たちを支援する機会とすべきだ。

近年、サウジアラビアは、ムハンマド皇太子を改革担当の表看板に据え、高額を投じて改革の宣伝作戦を展開し、国のイメージを変えようとしてきた。一昨年、それまで禁止だった女性の運転を認め、改革事例の一つとして鳴り物入りで喧伝した。しかし、女性の運転禁止の解禁直前にやったことといえば、女性の運転の権利を訴えてきた活動家らを逮捕・勾留することだった。

サウジアラビアの真の改革者たち

女性の権利擁護で特に知られる活動家ルージャイ・アル=ハスルールさんは、2018年5月の権利運動に対する弾圧の最中に逮捕され、今も勾留が続く。2014年にも逮捕・勾留され、釈放後は、成人の女性に男性後見人を義務付ける制度の廃止も訴えた。

ルージャイ・アル=ハスルールさんは、家族との定期的な連絡を認められないことに抗議して、10月26日以来ハンガーストライキを行なっている。体に力が入らず、痩せ細っているとされ、体調悪化が懸念される。

ナシマ・アル=サダさんは、市民的・政治的権利、女性の権利、サウジアラビア東部州の少数民族の権利などを擁護してきた。

サマル・バダウィさんは、女性の運転の権利を訴え、また、人権弁護士の元夫とブロガーの兄が投獄されていることに対して、当局を声高に批判していた。

ヌーフ・アブドゥラジズさんは、人権問題の記事を書いたために2年前から拘禁されている。その後、このジャーナリストの釈放をブログで呼び掛けた活動仲間のマヤア・アル=ザフラニさんも、逮捕された。

5人のうちの何人かは、刑務官らから嫌がらせや暴力を受けたり、独居房に入れられたりしている。

一方、サウジアラビア政府は、G20議長国に決まってから、女性の雇用機会創出に向けた新たな取り組みを発表し、首脳会議の議案説明の中で、女性らの権利向上に最大限の努力をすると表明している。

駐英サウジ大使は11月10日、「サウジ当局は、首脳会議直前に拘束中の活動家への恩赦の発表を検討中だ」と述べたが、活動家の家族には、「単なる宣伝に過ぎない」と一蹴された。

そもそも、勾留中の女性5人が求めるのは、恩赦ではない。即時無条件の無罪放免だ。表現の自由の権利を平和的に行使しただけであり、何の罪も犯していないのだ。

アムネスティ国際ニュース
2020年11月19日

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