サウジアラビア:アマゾンの倉庫で働く移住労働者 だまされて搾取され

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2023年10月23日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:サウジアラビア
トピック:企業の社会的責任

サウジアラビアのアマゾンの倉庫で働く契約労働者は、人材仲介業者や派遣会社にだまされ、賃金を詐取され、劣悪な環境に住まわされ、転職することも、出国することもできないでいた。

アマゾンは労働者から直接苦情を受けていたにもかかわらず、彼らを人権侵害から守ることができなかった。採用時に虚偽の説明を受け、労働で搾取されていたことを考えると、多くのケースで労働者が受けた扱いは、人身売買にあたる可能性が高い。

アマゾンで働けるのはまたとない機会を得たと思った移住労働者は、やがてトラウマを抱えるほどの人権侵害を受けた。被害者の総数は数百人に及ぶとみられる。

アマゾンはかなり前にこの恐ろしい事態を防ぎ、終わらせることができたはずだが、現実にはサウジアラビアの契約労働者を搾取から守ることができなかった。

アマゾンは早急に搾取を受けた労働者全員に対し補償を提供し、二度と同じことが起こらないようにしなければならない。

サウジアラビア政府の責任も重い。政府はこの人権侵害を調査し、労働法の改正や労働環境の改善を進め、転職や出国の自由など労働者の権利の保障に向けた措置を取らなければならない。

アムネスティは、人材派遣会社2社に雇用され2021年から2023年にかけてリヤドあるいはジッダのアマゾンの倉庫で働いていたネパール人男性22人から聞き取りをした。

聞き取り調査の結果はアマゾン、人材派遣業者、政府に提供された。アマゾンからのみ回答があった。

詐欺、仲介料、卑劣、搾取

アマゾンでの仕事を確保するために、聞き取りをした22人のほぼ全員が、ネパールの人材仲介業者におよそ1500米ドル(約22万円)を支払っていた。その支払いのために高金利で借金をした人もいた。

人材仲介業者は採用過程で、時にはサウジアラビアの派遣会社と結託して、アマゾンに直接雇用されるかのように多数の労働者を欺いた。

労働者の中には国を発つ直前に受け取った契約書や資料で、雇用主はアマゾンではないという疑いを抱き始めたが、仲介手数料をすでに払っていたため引き返すわけにはいかなかった。仲介業者から「アマゾンの支社だから心配ない」と言われた人もいた。多くが現地入りしてから気付いた。

サウジアラビアでは、22人のほとんどが狭くて不潔な部屋での共同生活を何カ月間も強いられた。派遣会社は賃金の一部や食費を説明なく天引きし、残業代を不当に安くした。

アマゾンの倉庫では、労働者は監視下で重い荷物を運ばされ、ノルマを課され、十分な休憩時間を与えられなかった。過酷な労働環境で怪我をしたり病気になったりした人がいたが、疾病手当は出ないため、無理を押して現場に復帰していた。

ほとんどの労働者は派遣会社と2年契約を結んだが、その多くが1年以内でアマゾンでの仕事を打ち切られた。

仕事を失った労働者は、給料を支払われず、さらに劣悪な住居に移された。サウジアラビア政府から社会保障や補助もなく、パンと塩で凌いだ人もいた。また多くの労働者は、ベッドも飲み水もなく、室温が50℃のうだる暑さの中で耐えるしかなかった。

出国制限

聞き取りをしたほとんどの人たちは、何かにつけ雇用者の同意が必要なサウジアラビアの保証人制度「カファラ」を悪用され、転職や出国が制限された。

派遣会社は、労働者が1年以内に雇用主を変える際に必要な「転職許可」書類の発行を認めなかった。許可なく職場を去れば、逃亡容疑で逮捕されるおそれがある。多くは契約終了前に帰国を希望したが、雇用主に義務付けられている飛行機のチケットが提供されず、出国手続きのために1330米ドルから1600米ドル(約20万円から24万円)の「罰金」を払うように言われたという。

その結果、労働者たちは派遣会社の意のままに劣悪な状況に置かれ、耐え忍ぶしかなかった。

自殺を考えた人も何人かいた。1人は、自殺したいと母親に打ち明けると、「そんなことやめて。私たちが借金をすればいいから」と言われたという。

アマゾンの過誤

サウジアラビアで移住労働者が弱い立場にあることは、アマゾンが2020年に同国で事業を開始する以前から指摘されてきたし、2021年にアマゾンが実施したリスク評価でも明らかになっていた。

2021年から労働者はアマゾンに直接、苦情を申し立て始めたが、しばしば無視され、被害は2023年まで続いた。

アマゾンに居住環境の苦情を申し立てたために、派遣会社から賃金を差し引かれるなどの報復を受けた人もいた。

労働者の1人は、宿泊施設の水道の水質のことで苦情を言うと、平手打ちを食らった。暴行を受けたことをアマゾンのマネージャーに訴えると、「知ったことではない」と言われたという。

アマゾンは、同社の方針や「国連ビジネスと人権に関する指導原則」に従った対応を取らず、人身売買の被害者の労働で利益を得ている可能性がある。

改革と対策

アマゾンは自社施設とサプライチェーン全体の労働慣行を早急に調査し、業務や取引におけるデューディリジェンスを強化し、労働者が声を上げ、その意見を聞くようにしなければならない。

また、労働者の直接雇用を増やし、派遣会社への依存を減らすことも必要だ。派遣会社を利用するにしても、より厳格に管理し、労働者搾取を防ぐべきだ。

アマゾンはアムネスティに対し、今年3月から6月までに派遣会社を監査し、アムネスティが指摘する人権侵害があったことを認めた。そして最近、派遣会社の労働慣行を見直し、人権侵害や不正行為を是正するためにコンサルタントを雇ったことを明らかにした。

こうした取り組みは重要だが、労働者はもう何年も前から苦情を申し立てている。アマゾンは仲介料を払ってやってきた移住労働者を救済し、彼らが受けた搾取とアマゾン倉庫で受けた不当行為に対して補償する義務がある。

今こそ、アマゾンは搾取されてきた派遣労働者のために事態を正し、サウジアラビアは、搾取的な労働制度を抜本的に見直すべきだ。

アムネスティ国際ニュース
2023年10月10日

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