- 2020年12月 4日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:中国
- トピック:表現の自由
香港の裁判所は12月2日、公安条例違反に問われていた民主活動家の黄之助(ジョシュア・ウォン)さんに13.5カ月、周庭(アグネス・チョウ)さんに10カ月、林朗彦(アイバン・ラム)さんに8カ月の量刑を言い渡した。
香港の民主化を求める政治団体「香港衆志(デモシスト)」(その後解散)のメンバーだった3人は、昨年6月21日に警察本部前であった抗議行動を主導したとして、無許可集会の組織や扇動などの罪に問われ、有罪判決を受けていた。
香港政府は再び、政府批判の声を上げただけの活動家を投獄するために扇動罪を適用した。
昨年の抗議デモをめぐっては、すでに多数のデモ関係者が実刑判決を受け収監されている。今回、知名度がある活動家3人を投獄することで、当局は、政府を批判すれば同様の目に遭うという警告を送ったものと言える。
3人の投獄は、表現の自由と集会の自由の権利の侵害だ。有罪判決は直ちに覆され、3人は即時無条件に釈放されなければならない。
背景情報
裁判で3人は、無許可集会扇動罪を認めた。黄さんは、無許可集会を組織した罪についても認めた。「扇動」とは、ここでは抗議デモ中にメガホンでスローガンを叫ぶことを指す。
昨年6月12日の抗議デモで、警察がデモ参加者にゴム弾や催涙ガスなどを使ったことに抗議して、6月21日、数千人の市民が抗議デモに参加した。その時、参加者の中には、卵を投げ付けたり、警察の建物に落書きしたり、非番の警官に暴行したりする者もいた。
抗議デモで暴力行為や公共物を破壊した者がいたとしも、他の参加者やデモ主催者、あるいはデモ全体がその責任を負うものではない。
昨年の一連の抗議行動では、1万人以上が逮捕され、2,000人以上が暴動、違法集会、武器所持などの容疑で起訴された。
6月には、香港紙「リンゴ日報」の創業者、黎智英(ジミー・ライ)さんら13人が、開催を禁止されていた天安門事件の犠牲者追悼集会への参加を扇動した罪で起訴された。
扇動罪は、メッセージアプリで無許可集会に人を動員したときにも適用される。
香港の公安条例は、国際基準に沿っていないと指摘されてきた。同条例では、抗議行動を実施するには警察から「異議なし」の書面を取得することが求められている。承認がない場合、集会やデモは違法とみなされ、団体や参加者は罰金や実刑を受ける可能性がある。
事実上、抗議行動の際には警察の許可が必要ということである。しかし、国際法では、国家当局は、集会やデモを予定する市民に事前の承認を求めることはできず、求めるとすれば、集会などの円滑な実施に向けた事前通知だけだ。
アムネスティ国際ニュース
2020年12月2日
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