- 2021年7月14日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:
(C) Amnesty International
被占領西岸地区のパレスチナ当局は、平和的に抗議する市民を恣意的に拘束し、その後、暴行するなど、違法な力による弾圧を繰り返している。
政府批判で知られる政治活動家のニザール・バナットさんが6月24日、勾留中に亡くなった。その後、バナットさんの死に端を発した抗議活動が激しくなり、緊張が高まっている。7月5日、治安当局は過剰な力を行使して、ラマッラーのバロウ警察署前であった集会を力で強制排除し、抗議参加者、ジャーナリスト、弁護士ら少なくとも15人を拘束した。
この2週間、治安当局は、抗議を過剰な力で抑えつけ、参加者を拘束するなどして、当局への恐怖心を植え付ける作戦をとっている。
マムード・アッバス大統領は直ちに、卑劣な弾圧を停止し、警察や治安部隊が行った抗議市民への人権侵害の責任を問わなければならない。それにはまず、警察署で拷問を受けたことを示す多数の傷やあざがあったとされるバナットさんの死因や、治安当局によるデモ参加者らへの暴力に対して、公正な捜査を徹底しなければならない。
座り込みへの攻撃
当局の暴力が際立った事例の一つは、7月5日夜の座り込みに対するものだ。その夜にあるラマッラーのデモに参加予定だった市民団体の幹部や弁護士ら6人が拘束され、拘束に抗議する家族や支援者らの座り込みが、バロウ警察署前であった。警察は当初、座り込みをやめるよう説得を試みたが、説明が納得できないとして家族らは退去を拒否した。その後、盾や警棒、催涙スプレー、暴徒鎮圧用の装備などで武装した警官が到着し、抗議する人たちの髪の毛を引っ張り、引きずり出し、催眠スプレーを浴びせるなどして、彼らを排除した。
エスカレートする弾圧
治安部隊はこれまでに少なくとも6回、過剰な力を行使して平和的な抗議を解散させた。抗議者の中には、実力行使をする治安部隊に石などを投げて応戦する人もいた。
6月24日の座り込みの現場にいたアムネスティの調査員も、座り込む家族らが警官に暴行を受ける様子を目撃した。6月26日と27日にも、当局による抗議市民への暴行が続いた。
6月26日、不審な集団が突然、デモ参加者や見物人を襲撃した。集団の中に、治安部隊員や政党ファタハのメンバーがいたと思われる。6月27日には、抗議に参加する人たちが全員集まる前に、私服の一団による襲撃があった。
どちらの場合も、多数の女性ジャーナリストが襲われ、性的暴行を受けた人もいた。しかし、警察が出動して市民を保護することはなかった。
7月3日には、アッバス大統領への抗議デモがあり、数百人が集まった。集会後、政府を声高に非難していたガッサン・アル・サーディさんが拘束された。拘束時、アル・サーディさんは、殴る蹴るの暴行を受けた。この拘束に抗議した活動家3人も拘束された。全員が、「内部抗争を引き起こした」「当局を侮辱した」という容疑に問われている。
パレスチナの治安部隊と警察が、抗議する市民の人権を侵害しても責任を問われることなく、野放しにされている。許し難い事態であり、当局がその責任を果たし、人権の尊重を確約するまで、米国、英国、EU加盟国は、パレスチナに対する安全保障や軍事面での支援を停止しなければならない。
アムネスティ国際ニュース
2021年7月7日
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