アフガニスタン:タリバンによるハザラ人13人の殺害 新調査で明るみに

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2021年10月13日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:アフガニスタン
トピック:

アフガニスタンのダーイクンディー州キディールにある村で8月30日、ハザラ人13人が、タリバン戦闘員に殺害された。犠牲になったのは、前政権の治安部隊員11人と少女(17歳)を含む住民2人だった。

目撃者によると、元隊員たちが投降したにもかかわらず、タリバンは超法規的に処刑した。この殺害は戦争犯罪にあたると思われる。市民2人は、逃げる住民に向けてタリバンが銃を発砲し始めたとき、銃弾を受けて亡くなった。

アムネスティは、殺害直後に撮られた写真や動画を検証し、殺害現場がキディール内の村であることを特定した。

これらの冷酷な殺害は、タリバンがかつてアフガニスタンを支配していた時代の悪名高き残虐さが、今も続いていることの証左だ。タリバンは、前政権で職務に就いていた者を狙うことはないと繰り返してきたが、13人の殺害は、その主張が口先だけだったことを物語る。

タリバンは、直ちに報復行為をやめ、元政権関係者やその家族の身の安全を保障すべきだ。新政権は、タリバン戦闘員に対し、元部隊員や市民の殺害は決して許されないこと、また殺人に関わった者は処罰の対象になることをはっきり示しておく必要がある。

タリバンは、アフガニスタン制圧後に数々の人権侵害を行ってきた。だが、その立証は容易ではない。多くの地域で携帯電話の通信が遮断されているからだ。

7月上旬には、支配下に置いたガズニ州で、タリバンがハザラの9人を殺害していたことが、アムネスティの調べでわかった。

カホール村での殺害

タリバンがダーイクンディー州を制圧したのは、8月14日だった。前政権の治安部隊員およそ34人は、タリバンから身を隠す場所を探していたが、タリバンが同地域の大部分を制圧したことを受け、タリバンへの投降を決めた。

部隊幹部は、タリバン戦闘員の前で隊員に武器を捨てるよう命じた。8月29日、幹部らは、全面降伏に向けた交渉をタリバンと始めた。8月30日、タリバン戦闘員およそ300人が、キディールにある村の近くに入った。隊員の中には、家族を同伴していた者もいた。隊員らが村から出ようとしたとき、1台の車両が立ち往生し、追いついたタリバン戦闘員に銃撃され、17歳の少女が犠牲になった。隊員の反撃でタリバン戦闘員からも死者や負傷者が出た。

タリバンは逃げる家族らにも銃口を向け、隊員2人が亡くなった。その後、投降した隊員9人を近くの川に連れて行き、銃殺した。

動画や写真には、男性の遺体が並べられている様子が映っていたが、ほとんどの死者の頭部に銃創が見られた。

アムネスティは、動画などの撮影場所を特定できなかったが、画像が映し出す状況は、現場はカホール近辺だという目撃者の証言と一致した。

殺害後

殺害後の8月31日、遺体は運び出され、親族の墓に埋葬された。

タリバンはその後、殺害を免れた家族らに「逃げた者は、3日以内に戻り投降したほうがいい」と告げた。聞き取りをした人たちによると、タリバン幹部の一人は、「この20年で多数の市民を殺してきた。人殺しはいたって簡単だ」と話したという。

9月1日、タリバンが指名したダーイクンディー州警察署長は、タリバンによる市民の殺害を認めず、タリバンの戦闘員1人が負傷しただけだと言った。

背景情報

今年8月中旬、前政権が崩壊しタリバンが権力を掌握した。アムネスティは、学者や記者、市民活動家、女性の人権擁護者など、タリバンから報復を受けるおそれがある人たち数千人の保護を求めている。

アムネスティは9月20日、政権掌握後のタリバンによる数々の人権侵害を詳述した報告書を発表した。市民や投降した兵士の殺害、人道物資の阻止などだ。これらは国際法上の犯罪にあたる。

アムネスティ国際ニュース
2021年10月5日

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