- 2021年11月 4日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:アルジェリア
- トピック:表現の自由
© RYAD KRAMDI/AFP via Getty Images
首都アルジェの西方に位置するアインデフラの裁判所は7月21日、不正な寄付を受けた罪に問われていたキリスト教徒フォディル・バールールさんに実刑6カ月と罰金の有罪判決を言い渡した。バールールさんの口座に振り込まれていた200ユーロ(約26,000円)が、イスラム教以外の信仰を規制する法律の「不正な寄付」にあたるとみなされた。
アルジェリア当局は直ちに、バールールさんの有罪判決を破棄し、起訴を取り下げるべきだ。バールールさんは、そもそも裁判にかけられるような罪を犯していない。当局は、この差別的法律を非イスラム教徒を取り締まる手段に利用しており、基本的自由を侵害している。少数派宗教の信者への迫害をやめ、思想、良心、信仰、信条の自由の擁護に取り組むべきだ。
警察は4月17日、バールールさんの自宅で本人と友人3人を逮捕した。その後の家宅捜索で、キリスト教関連の本や物品を押収した。バールールさんは、「取り調べで質されたのは、宗教活動で金銭を受け取ったことはあるか、その出所は外国か、入金された200ユーロは何のためのお金かなどだ」とアムネスティに語った。200ユーロについては、「無職で収入がないため、ドイツの友人が資金援助してくれた」と答えたという。
バールールさんは、法廷で弁護人を付けることも、証人を呼ぶことも許されなかった。
アムネスティは、逮捕当日、取り調べ中のバールールさんの発言を含む裁判記録を検証した。評決には、バールールさんが「失業中の若者に危険な思想を広め」、本を配って「イスラムへの信頼を揺るがした」とあった。判決は、実刑6カ月と罰金10万アルジェリア・ディナール(約8万3000円)だった。
バールールさんの逮捕と有罪判決は、明らかに非イスラム教徒への弾圧だ。当局は、少数派宗教信者への迫害をやめ、すべての人たちに信仰に基づく自由な行動を認めるべきだ。
背景情報
少数派宗教の信者や関係者の受難が続いている。
3月、「改宗罪」に問われていた牧師と友人のキリスト教徒の控訴審でオランの裁判所は、2人に実刑1年と罰金刑を言い渡した。牧師は、営んでいた書店も閉鎖させられた。
6月、裁判所は、法律が定める結社の規定に違反したとして3つの教会に閉鎖命令を出した。
2017年には、少数派アフマディー教の信者が、違法な寄付受理などの容疑に問われ、少なくとも280人が起訴された。
アムネスティ国際ニュース
2021年10月27日
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