アルジェリア:警官の横暴を告発した活動家の訴追をやめよ

  1. ホーム
  2. ニュースリリース
  3. 国際事務局発表ニュース
  4. アルジェリア:警官の横暴を告発した活動家の訴追をやめよ
2022年3月29日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:アルジェリア
トピック:

警官から暴行を受けたと告白する少年の動画を撮ってネットに投稿し、でっち上げの罪に問われている活動家5人の裁判が、3月22日に始まる。アルジェリア当局は5人の容疑を取り下げるべきだ。

5人は、モハメド・タジャディットさん、マリク・リアヒさん、ヌレディン・キムードさん、スーハイブ・デバーギさん、アハメッド・ターレック・デバーギさんで、反体制運動「ヒラク」の活動家でもある。

「フェイクニュースの投稿」、「子どものプライバシー侵害」、「公的機関の名誉毀損」などの容疑で、1年近く勾留されているが、裁判はいまだ始まっていない。

ことの始まりは、タジャディットさんとスーハイブさんが昨年4月、少年(15歳)が拘束中に警官から性的暴行を受けたと告白する動画をフェイスブックに投稿したことだった。動画は拡散し、少年を暴行した警官への憤りが噴出したにもかかわらず、当局が取った対応は、暴行事件の捜査ではなく、動画を投稿した人物の口封じだった。

5人の容疑は、子どもの訴えを社会で共有するという表現の自由の抑圧を意味する。当局は、性暴力被害者を報復から保護する国際法の義務を尊重し、5人の起訴を取り下げて釈放しなければならない。

動画は、タジャディットさんとスーハイブさんが、デモに参加して拘束されていた少年を警察署の前で撮ったものだった。少年が拘束を解かれる前、少年の拘束に抗議する数人が警察署前で、少年の即時解放を要求していた。

タジャディットさんらから、性的暴行を受けたのかと尋ねられた少年が、警官に強かんされそうになったと言い、すすり泣いた。また、警察署に駆けつけていた少年の母親は、「息子が警官に殴られているところを見た」と話した。

昨年4月、タジャディットさんは自宅にいたところ、踏みこんできた警察に拘束され、一緒にいた友人のリアヒさんも連行された。同時期に拘束された3人とともに、少年の証言動画の投稿に関わる容疑で拘置された。

その後の記者会見で、控訴裁判所の検察官は子どもの申し立てに対する捜査を始めると言ったものの、「少年は麻薬使用者で、起訴された活動家の1人と疑わしい関係にあり、少年の主張には信憑性がない」とも語った。

また、同性愛者に嫌悪を示し、5人が子どもを政治的に利用したと非難した。さらに、検察官は、少年と5人に対して、当局がテロ活動とみなす政治運動ラチャドとの関係で捜査を始めたことも明らかにした。5人が、「国秩序を乱すために外国から資金提供を受けている」と非難した。

アルジェリア政府との対話の中で、複数の国連特別報告者は、警官が未成年者に暴行したり、子どもが暴行を受けたとの主張を疑問視し、道徳的に非難したりする検察当局に重大な懸念を示した。国連特別報告者によるこれらの懸念は、現行の捜査の公平性に疑問を投げかけそうだ。

活動家の逮捕は、検察官の憎悪に満ちた、根拠ない起訴と相まって、動画を公開したことへの報復であることを示している。

5人は釈放や公判の開始を求めて、2月28日からハンストに入った。ハンスト中、ハンストをやめさようとする刑務官から3人が暴行を受けた。その後、刑務所当局は、弁護人や家族に知らせることなく5人を別の刑務所に移送した。ハンスト開始から3週間目、裁判の開始が決まり、日程も公表されたため、5人は、ハンストを中止した。

国連拷問等禁止条約に加盟するアルジェリアには、拷問の訴えと報告を迅速かつ公正に捜査する法的義務がある。条約の履行を監視する国連拷問禁止委員会は加盟国に対し、拷問の被害者、証人、支援者らを脅迫や報復から保護するよう求めてきた。

背景情報

ヒラクは、2019年2月に始まった、国の政治を根本的に変えようとする人びとによる運動だ。

今回拘束された5人の1人、タジャディットさんは、2年前にも収監されたことがあった。ヒラクの集会で自作の詩を披露し、「ヒラクの詩人」と呼ばれるタジャディットさんだが、抗議集会に参加したために「国の団結を損ねた」罪で実刑1年半を言い渡され、数カ月間、収監された。

リアヒさんは、別の裁判で「国益を害する大衆出版物に寄稿」した容疑にも問われており、3月16日に出廷した。有罪なら実刑3年を受けるおそれがある。彼の裁判は継続中だ。

アムネスティ国際ニュース
2022年3月22日

英語のニュースを読む

関連ニュースリリース