- 2021年11月12日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:米国
- トピック:
米国商務省は、イスラエルの監視ソフト開発企業NSOグループを、悪質なサイバー活動に加担しているとして、米国の安全保障・外交政策上の懸念がある取引制限対象リストに加えることを決定した。
アムネスティなどの活動団体が長年、NSOグループのスパイウェア※は抑圧の道具であると訴えてきたが、今回米国政府がその指摘を認める形となった。NSOグループのスパイウェア「ペガサス」は世界中で、ジャーナリストや活動家などを標的とした違法な監視に利用されている。
商務省の決定は、「人権侵害に加担して利益を得ることはもはや許されない」というNSOグループへの強いメッセージでもある。また、人権侵害に利用される技術を販売する企業への投資を今後も継続するのか、NSOに投資してきた人たちの行動も問われる。
監視技術が与える脅威は、一企業に留まらない。監視技術の開発は、これまで野放しにされており、今回、米国政府がブラックリストにNSOを加えたことが、スパイウェア企業の免責に終止符を打つことにつながらなければならない。
また、人権に配慮した規制の枠組みが定着するまで、各国は、監視技術の輸出・販売・移転・使用の停止措置を取る必要がある。
背景情報
NSOグループのスパイウェア「ペガサス」が、大規模な人権侵害を引き起こしていることが、報道機関による調査「ペガサスプロジェクト」で明らかになった。
パリの非営利団体「フォービドゥン・ストーリーズ」がコーディネートした同プロジェクトには、10カ国17の報道機関から80人以上の記者が参加した。アムネスティは最先端の技術を使って、スパイウェアの携帯電話への侵入状況を解析し、技術面でプロジェクトを支援した。
NSOグループは、今回の決定を納得できないとして、決定の取り消しを求めるとしている。
※スパイウェア:ユーザーに気づかれないよう秘密裏にスマートフォンやパソコンなどの端末に不正侵入し、ユーザーの行動履歴や個人情報を盗み出すソフトウェア。
アムネスティ国際ニュース
2021年11月3日
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