米国:ニューヨークでの人種差別的取り締まり 顔認識技術が拍車

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2022年2月17日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:米国
トピック:

ニューヨーク市警は「ストップ・アンド・フリスク」と呼ばれる、通行人を呼び止めて所持品検査をする取り締まりを行っているが、この呼び止め検査を受けやすい地域に住む市民は、顔認証技術を使った監視カメラにさらされているおそれも高い。

アムネスティは顔認証技術の禁止を訴えるキャンペーンの一環としてニューヨーク市の全5区で実施した調査で、ニューヨーク市警による大規模監視の対象が、すでに警察の呼び止め検査の対象となっている市民であることが明らかになった。

ブロンクス、ブルックリン、クイーンズでの調査で、非白人の住民の割合が多い地域ほど顔認証対応の監視カメラの設置数が多いこともわかった。

この事実は、ニューヨーク市警の顔認証技術が人種差別的な取り締まりの強化を助長していることを意味する。

大規模監視のための顔認証の禁止は、差別的取り締まりの廃止に向けた重要な第一歩だ。市議会は全面廃止に向け、ただちに行動を起こすべきだ。

今回の調査結果は、ボランティアの手でニューヨーク市全域の2万5千台以上の監視カメラの地図を作製するプロジェクトの中で得たデータに基づく

アムネスティは情報処理の専門家の協力を得て、これらのデータを分析し、呼び止め検査のデータと地域人口を付き合わせた。

個人を特定する顔認証技術による大規模監視は、個人のプライバシーの権利を侵害し、集会の自由、平等、非差別の権利を脅かすものだ。

ニューヨーク市警は2016年から2019年の間、少なくとも2万2千件で顔認証技術を利用した。2003年以降のデータによると、呼び止め検査の対象は、ほとんどが黒人とラテンアメリカ系の市民だった。

アムネスティは昨年、当局に対し市警が顔認証技術など監視機器の購入に関する公文書の公開を求めた。しかし、当局は公開を拒否したため、アムネスティは、市警を相手取り訴訟を起こし、現在も裁判が続いている。

監視の度合いがわかる双方向ウェブサイトの公開

アムネスティは2月15日、ウェブサイト(https://nypd-surveillance.amnesty.org/)を新たに立ち上げた。このサイトでは、ニューヨーク市内の任意の2地点間の歩行ルートが、どれほど監視を受ける可能性があるかがわかる。

2020年半ばの、黒人に対する暴力と組織的人種差別撲滅を訴える「ブラック・ライブズ・マター」運動では、デモ参加者は顔認証技術にさらされる確率が高かった。例えば、地下鉄の駅からワシントン・スクエア・パークまで歩けば、その間ずっと監視カメラに捉えられていることになる。

アムネスティが、デモに参加した人たちが歩いたとみられるルートを調べたところ、そのほとんどが、当局の監視カメラ、主にニューヨーク市警の監視カメラに監視されていたことがわかった。

顔認証技術が街角で広く利用されている状況は、事実上デジタルによる「ストップ・アンド・フリスク」だ。抗議活動の場での大規模監視は、人権を行使しているだけの人たちの身元の特定、追跡、嫌がらせのためであることを意味する。

これは市民を怖気づかせようとするニューヨーク市警の意図的な戦術であり、自由な社会には相容れない。顔認証技術の利用はただちにやめるべきだ。

前述の新しいウェブサイトでは、市内の主な観光名所間のルートにどのくらいの顔認証技術が利用されているかも知ることができる。

アムネスティは当局に対して、公共での顔認証技術の利用を規制する請願運動をしている。ニューヨーク市民には、自分たちの街を守るために顔認証技術の利用を禁止する法案の導入を求める手紙を市議会議員に送ることを勧めたい。

そして世界の人びとは、顔認証技術の規制を求めるアムネスティの請願書に署名することができる。

今回の顔認証技術をめぐる調査には、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのコンピュータサイエンス学部のジュリアン・コーネビス教授、データと技術で国の責任を追及する市民団体BetaNYC、データサイエンティストのデイモン・ウィシック博士などの協力を得た。

アムネスティは、国家、民間を問わず、大規模な監視を目的とする顔認証技術の利用・開発・生産・販売・輸出の全面禁止を求めており、その一環として昨年はニューヨークとハイデラバード(インド)での監視状況を調査・報告している。

アムネスティ国際ニュース
2022年2月15日

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