ウクライナ:ロシア軍の無差別攻撃を検証

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2022年2月28日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ウクライナ
トピック:

© Photo: ARIS MESSINIS/AFP via Getty Images
© Photo: ARIS MESSINIS/AFP via Getty Images

ロシアがウクライナへの侵攻を開始した2月24日早朝、弾道ミサイルが被弾した3カ所で少なくともウクライナ市民6人が死亡し、12人以上が負傷したことが、アムネスティの調べでわかった。

ロシアの侵攻は、市街地域に対する無差別攻撃と病院などの保護対象への攻撃が際立つ。無差別攻撃は国際人道法(戦時国際法)違反であり、戦争犯罪となり得る。

ロシア軍は、弾道ミサイルや砲弾で人口密集地を攻撃し、市民の生命をあからさまに軽視している。軍の戦闘には、戦争犯罪にあたるような攻撃もある。

精密誘導兵器しか使っていないと偽るロシア政府は、民間人から犠牲者を出した責任を取り、ロシア軍は、戦時国際法違反の無差別攻撃を直ちにやめるべきだ。

無差別攻撃

アムネスティは、2月24日早朝にロシア軍の攻撃を受けた3カ所の現場を撮った写真、ビデオ、衛星画像を分析した。

最多の犠牲者を出したのは、ドネツク州ヴフレダールの病院付近だ。病院付近に弾道ミサイルが落下し、市民4人が死亡、10人以上が負傷した。アムネスティが地元情報筋から得た情報によると、犠牲になった4人は男女各2人で、負傷者には6人の医療従事者が含まれていた。

武器の破片の写真を分析したところ、攻撃に使われたのは、「9M79トーチカ」と呼ばれる弾道ミサイルであることが判明した。この弾道ミサイルの命中率は極めて悪く、目標から500m以上もはずれて着弾するのが常であるため、人口密集地では決して使ってはならないミサイルだ。

ウクライナ第2の都市ハリコフでは午前8時頃、攻撃があった。攻撃目標は空軍基地だったはずだが、弾道ミサイルが落ちたのは基地に近い住宅街だった。着弾後大規模な火災が発生し、少なくとも男性1人が死亡、女性2人が負傷したとみられる。

アパートとアパートの間の地面に巨大な穴ができていることから、飛来したのは、大型のミサイルかロケット弾である可能性が高い。

2月24日午前7時に空爆を受けたチェルカス州ウマニでは、男性1人が犠牲になったようだ。

国連総会は緊急会合を開くべき

ロシア軍が無差別攻撃を仕掛けたことを示すこれらの証拠により、ロシア軍が国際人道法と国際人権法違反を犯していることには、反論の余地はない。

2月25日午後の国連安全保障理事会では、ウクライナ侵攻の非難と即時撤退を求める決議案が採択にかけられたが、常任理事国であるロシアが拒否権を発動して否決された。

従って、アムネスティは、国連総会の緊急会合を呼びかけている。安保理が、拒否権を前に機能不全に陥るならば、他の加盟国が結集するしかない。

アムネスティは、国連は緊急会合を開き、ロシアの違法な攻撃を糾弾し、人道法と人権のすべての侵害を停止するよう求める決議を採択するよう要請する。

何百万人もの市民の生命、安全、健康が危機に瀕している事態を看過してはならない。

アムネスティ国際ニュース
2022年 2月15日

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ウクライナの市民の命を守って!

緊急署名:ウクライナの市民の命を守って!(change.org)

ロシア政府に対し、ウクライナ侵略を直ちに止め、戦闘に関わっていない市民を保護し、国際法を遵守するよう求める署名を開始しました。ウクライナの人たちの人権が重大な危機にさらされています。彼らのために日本からも声を上げてください!

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