- 2022年6月14日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:バングラデシュ
- トピック:
バングラデシュのNGO局は6月5日、人権NGOオディカルに対する登録更新を取り消すと発表した。オディカルは、強制失踪や超法規的処刑に関する「誤解を招く情報」を公表し、国の国際的な評判を著しく傷つけたとしている。
当局は、同国の主要な人権団体に対する登録抹消の決定を直ちに撤回するとともに、同団体が報復を恐れることなく活動できるようにすべきだ。
オディカルが手がけていた人権侵害に関わる報告は、加害者側の責任を追及する上で欠かせない役割を果たしてきた。しかし、NGO局は、オディカルの登録更新を2014年から8年間も保留した上、今回、登録を取り消す措置を取った。2019年5月には、オディカルは更新保留に対する説明を求める文書を提出していた。
人権団体の登録更新を長年保留した上、国内の劣悪な人権状況への世界的な批判を浴びたために取り消すとは、愚の骨頂だ。オディカルへの報復的措置は、人権のために活動する人たちを威嚇し声を封じるための、愚劣で恥知らずな行為と言える。
結社の自由の権利は、バングラデシュも加盟する市民的および政治的権利に関する国際規約(自由権規約)で保障されており、組織の停止と強制的な解散は、結社の自由の権利に対する最も厳しい制限のひとつである。その重大性を考えると、国家の治安あるいは社会秩序に明らかに差し迫った脅威がある場合にのみ取られるべきであり、かつその目的が必要かつ妥当で、他の制限では不十分の場合に限定されるべきだ。
団体の活動停止や解散の決定はそもそも行政機関ではなく、公正で独立した法廷で下されるべきだ。
当局の措置は、法の支配の無視でもある。というのも、高等裁判所が2019年、NGO局に対しオディカルの登録更新を認めない根拠の説明を求める判決を下し、現在、この問題が審理待ちだからだ。また、オディカルが特に力を入れている強制失踪や超法規的処刑の問題で、NGO局が被害者や犠牲者の家族に関する微妙で仔細な情報を求めていたことも判明している。
当局は、これまでもオディカルの活動を妨害しようとしてきた。オディカルは2013年5月、治安部隊が抗議デモを武力で解散させ、数人の死者を出したと報告した。当局はこの報告を「でっち上げだ」と主張し、オディカルの事務局長と理事長が翌年、それぞれ62日間と25日間、拘束された。
当局は今後、オディカルの会員や市民社会全般にも報復的措置を取ることが懸念される。
オディカルの登録抹消には、同人権組織が国際的に得ている信頼性に対して筋違いの怒りがみて取れる。人権侵害を明らかにする行為は、反政府でも反国家でもない。その意味で、オディカルの登録抹消決定は、お門違いも甚だしい。
バングラデシュ政府は、人権侵害の申し立てに対し独立した調査を実施するとともに、人権活動家や市民団体への制裁措置をやめなければならない。
アムネスティ国際ニュース
2022年6月7日
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