中国:香港の新行政長官は自由への道を開くべき

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2022年7月 7日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:中国
トピック:

7月1日に香港政府トップに就任した李家超(ジョン・リー)行政長官は、香港の人権状況の悪化に歯止めをかけるために、市民への対応を抜本的に変えなければならない。

政権の節目は、常に過去と決別する好機になる。香港の自由の先行きは、これまで数多くの犠牲者を出してきた強硬路線からどう転換するかにかかっている。具体的には、国際人権基準に十分沿った法令を制定することから始めなければならない。

就任式に出席する習国家主席

7月1日は、香港が英国から中国に返還されてから25年の節目の日となる。前日の6月30日は、2年前に国家安全維持法(国安法)が施行された日だった。国安法が適用されて以降、香港では表現、集会、結社などの自由の権利が踏みにじられてきた。

李新長官は、2017年から2021年までは保安局長として、また国家安全保障委員会委員として、反政府意見の徹底弾圧を可能にする国案法の実施に担っていた。あいまいな文言の同法のもと、野党議員、活動家、ジャーナリストなどが逮捕、起訴された。施行以来、およそ100の市民団体が解散させられるか、香港を後にしている。

国安法は習近平国家主席が率いる中国中央政府の主導で施行された。その習主席が新行政長官の就任式に出席した。

習主席の香港訪問は、2017年に中国返還20年を祝う式典に出席して以来、5年ぶりとなる。この5年間で香港は大きく変わった。

法律とその抑圧的な実施がますます中国本土と似てきた香港の新指導者に、北京政府の息のかかった人物が就任し、習主席がその就任式を見届ける。

李長官による弾圧の過去

2019年、李家超は香港保安局長として抗議デモ鎮圧の陣頭指揮を取った。押し並べて穏やかだったデモは、治安部隊から激しい弾圧を受けたが、治安部隊の不必要で過剰な力の行使を停止させることも、調査することもなかった。

その後、中国政府が主導した国安法を適用してあらゆる抗議活動を封じ込んできた。アムネスティは、市民の抗議を弾圧する当局が多数の人権侵害を侵してきた証拠を調べ、明らかにしてきた。

李新行政長官は、さらに抑圧的な法令を押し通す意思をすでに示している。例えば香港基本法第23条を具体的に執行する法令だ。23条は反逆、分離、扇動、「中央政府の転覆」を禁じる法律を香港政府が自ら制定しなければならないと定めており、政府は20年前に「国家安全条例」として制定しようとしたが、市民の抗議で実現しなかった。

新長官はじめ政府高官は、新政府は、国家安全保障法制の下で一層強力な権限を持つ必要があると述べている。その法体制には、国家機密、サイバーセキュリティ、「フェイクニュース」を管理するものも含まれている。

法の拡大解釈が可能になればなるほど、恣意的執行が可能になり、香港市民が抱える不安と恐怖はさらに大きくなる。

国連による人権審査

国連自由権規約委員会は7月7日から、香港政府の人権対応状況を審査する。国安法施行後としては初めてになる。

香港政府は、人権を守る政府の取り組みについての情報は開示すると述べている。だが、国安法の「外国勢力と結託」しているとみなされて訴追されるおそれがあるとして、今回の国連審査への参加を思いとどまった団体が複数あったことが、アムネスティの調べでわかっている。

香港社会は、前回国連審査があった2018年から激変している。以前、国連人権メカニズムに参加した数多くの団体は、一昨年解散した。解散した団体の幹部数人は、国安法違反の容疑で拘束され裁判を待っており、他の幹部らは、出国を余儀なくされた。

今回の審査では、委員会の関心は、人権の尊重、促進、保護を著しく蔑ろにした香港政府の対応に集中するだろう。

新政府は、今後のいかなる法案も香港市民と議会の審判を受けることから始める必要がある。今後いかなる法令も、その文言が明確に定義され、人権への配慮が十分行われ、国際人権法と国際人権基準に厳格に沿うものでなければならない。

香港が国連の審査を受けるにあたり、アムネスティは自由権規約委員会に報告書を提出している。

アムネスティ国際ニュース
2022年6月30日

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