- 2022年8月 5日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:米国
- トピック:
アムネスティらがブラック・ライブズ・マター(BLM)運動のデモ参加者に使用した顔認証技術の開示を求めた裁判で、ニューヨーク州第一審裁判所は7月29日、情報の開示を命じる判決を言い渡した。
人種的平等を求めるニューヨーク市民には、BLMデモの際にニューヨーク市警が顔認証技術をどう調達し利用しているのか、その全容を知る権利がある。この裁判は、警察の透明性と市民への説明責任を問うものだった。
今回の判決は、情報開示を拒否する市警の違法性を認めたもので、市警の差別的な監視手法に対する説明責任を問う上で重要な一歩になった。
ニューヨークでの人種差別的な警察の取り締まりに終止符を打つために、大規模監視のための顔認証技術の禁止が求められている。私たちはみな、監視を恐れることなく抗議する権利を持っている。
警察側が情報の隠蔽と公開する情報量が多すぎると主張したことについて、一審では、いずれも「アムネスティに徹底的に反証された」として切り捨てられた。
アムネスティが情報公開法に基づき再度の情報開示を求めたのに対し、裁判所はニューヨーク市警に対し、BLMデモでの顔認証技術を使った監視技術の調達と利用に関する2020年3月1日から同年9月1日までの文書と電子メール計2700点の開示を命じた。
市警はこれまで市民の監視方法を明らかにしなかったが、今後はそうもいかなくなるだろう。
警察の取り締まり活動で秘密裏に行われその一部に違法性があるのであれば、公共の安全どころか民主主義の脅威になってしまう。ニューヨーク市警当局は、速やかに裁判所の命令に従うことが求められる。ニューヨーク市民には、声をあげる市民がどのような取り締まりを受けているかを知る権利がある。
さらに重要なことは、当局が保有する情報が、今後の監視技術の濫用に歯止めをかける上で役に立つということだ。
背景情報
2020年9月、アムネスティ米国は情報公開法に基づきに2020年のBLMデモの監視記録の開示を請求した。だが、ニューヨーク市警が情報の開示を拒否したため 2021年7月、アムネスティと市民の大規模監視の停止とプライバシーの保護を求める団体「監視技術監督プロジェクト」は市警を相手取り、情報の開示を求める訴訟を起こした。
顔認証技術が集団の監視手段として利用されることで、差別的な取り締まりが助長され、自由で安全な集会が脅かされる。
アムネスティと他団体が今年2月にニューヨークで実施した共同調査で、警察が通行人を呼び止めて所持品検査をする取り締まりが頻繁に行われている地域の住民は、監視カメラの対象になりやすいことがわかった。ニューヨーク市の全5区で、所持品検査の対象となる市民が警察の監視を受けていること、さらにブロンクス、ブルックリン、クイーンズの非白人住民が多い地区ほど、顔認証対応の監視カメラが多く設置されていることも明らかになった。
アムネスティは、官民問わず大規模監視目的の顔認証技術の利用、開発、生産、販売、輸出の全面禁止を求めている。
アムネスティ国際ニュース
2022年8月1日
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