イラン:少数派宗教バハイ教徒への容赦ない弾圧

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2022年8月31日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:イラン
トピック:

イラン当局による宗教的少数派バハイ教徒への迫害が激しさを増し、最近では襲撃、恣意的逮捕、家屋破壊、土地奪取などが立て続けに起こっている。

7月31日以来、諜報省の捜査官は国内のさまざまな都市で、数十軒のバハイ教徒宅を捜索して資産を没収している。また、信仰を理由に少なくともバハイ教徒30人を逮捕し、多くの住民を尋問にかけた。

諜報省は8月1日、「逮捕した信者はバハイ・スパイ集団の中心メンバーであり、バハイ教の教えを広め、わが国の教育部門のさまざまなレベルに潜入しようとした」と発表した。

ファールス州シラーズでは、男女26人に恣意的な投獄が迫っている。26人は、今年6月の革命裁判所での裁判で、国の治安を脅かすという偽の容疑で実刑2年から5年を宣告された。

バハイ国際共同体によると、イランでバハイ教の信仰を理由に現在収監されている人たちは、昨今の逮捕者を合わせると少なくとも68人にのぼる。国連の調査では、目下1,000人以上のバハイ教徒が投獄されるおそれがあるという。

激化する迫害

8月2日、イラン北部マザンダラン州ロシャンコウの村で、バハイ教徒の家屋6軒が当局によりブルドーザーで破壊され、20ヘクタール以上の土地が没収された。 

自宅を失った3人がアムネスティに語ったところでは、治安部隊員や警察官ら200人以上が村を包囲し、午前6時から午後4時まで村への道路を封鎖して、撮影できないように村人の携帯電話を没収したという。

当局は2016年以来、住民が景観の保護を侵害したという嘘の口実をもうけて、ロシャンコウのバハイ教徒の資産の略取を画策してきた。その結果、少なくとも18人のバハイ教徒農民が生計の手段を奪われた。昨年は、建築中の家屋2軒が取り壊され、所有者の農民たちが所有する土地も没収された。

控訴裁判所は6月25日、セムナーン州のバハイ教徒の資産18件の没収を支持する判決を下した。その根拠は、この資産の持ち主が「違法活動や外国人に利するスパイ活動に携わる邪悪なバハイ教団の指導的人物だ」ということだった。

過去10年にわたってセムナーン州当局は、少なくとも20軒の店舗を閉鎖させ、2つの製造施設の装置を没収し、農業や牧畜を営む2業者の土地を没収、あるいは土地への立ち入りを禁止した。

当局は、バハイ教徒の土地や財産を略奪と追放を目的とする差別的な法律、政策、制度的慣行を直ちに廃止し、バハイ教徒の生存と信仰の自由を保障すべきだ。

背景情報

イランで非イスラム教最大の宗教的少数派であるバハイ教の信徒は、逮捕、拷問、強制失踪、事業閉鎖、財産没収など過酷な差別や抑圧を受けてきた。当局や国営メディアによるヘイトスピーチにさらされ、高等教育を受けることも禁じられている。

1991年の文化革命最高評議会で採択され最高指導者に承認されたイランの公式方針では、「バハイ教へのわが国の処遇は、バハイ教の進歩と発展を阻止するものでなければならない」とある。さらに「大学から追放せよ」「バハイを名乗る場合は就職を拒否せよ」「教育分野などでの影響力のある地位への就任は不可」としている。

アムネスティ国際ニュース
2022年8月24日

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