- 2022年9月14日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:中国
- トピック:先住民族/少数民族
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、中国新疆ウイグル自治区での大規模な人権侵害の実態を記録した報告書をようやく公表した。
昨年9月バチェレ人権高等弁務官は、「報告書は最終段階にある」と国連人権委員会に報告したが、報告書の公表は、1年後の8月31日、バチェレ高等弁務官の退任日だった。中国政府が国連に圧力をかけて報告書の公表を妨害していたことに、疑う余地はないだろう。
公表の大幅な遅れは、OHCHRの歴史に汚点を残すことになるが、公表の意義そのものが損なわれるわけではない。
この報告書が指摘する性暴力やジェンダーに基づく暴力、拷問や虐待は、アムネスティをはじめとする団体の報告内容と合致する。決定的に重要なのは、報告書が「ウイグル人など大多数がイスラム教徒の民族の恣意的、差別的拘束は、人道に対する罪になる可能性がある」と指摘した点にある。
国連人権理事会はこの公表を受けて、新疆ウイグル自治区での国際法違反のこうした犯罪や人権侵害を調査する国際的機関を設置すべきだ。
国連加盟国には、報告書内容を討議し調査機関の設置提案を支持する道義的義務があり、提案を支持しない国は、その歴史に汚点を残すことになる。
中国政府の人道に対する罪は、責を負うべき者の特定と訴追を含め、責任が追及されなければならない。
今回報告書が公表されたことで、これまで中国政府が人権弾圧を繰り返し否定してきたことが、なおさら空々しくなる。
中国政府は、収容所や刑務所に恣意的に拘束されている新疆のウイグル人やカザフ人など大多数がイスラム教徒の民族の人たちを直ちに解放し、彼らへの迫害をやめるべきだ。また、人権監視団や調査団の調査に制限を設けてはならない。
背景情報
今年5月、バチェレ国連人権高等弁務官は中国を訪問し、新疆ウイグル自治区にも訪れたが、人権侵害を確認することはできなかった。ウイグル自治区滞在中、中国側の担当者に常に付きまとわれ、被害者家族らと話すことができなかった。同氏が後日認めた。
訪問最終日の同氏の発言は、中国に対する責任追求に水をさし、十分予想されていた政府のプロパガンダに完全に利用されたという印象を与えた。
中国政府がバチェレ高等弁務官に宛てた書簡の中で、調査結果を公表しないよう求めていたこともわかっている。書簡の下書きを入手したメディアが7月に暴露した。
2017年以降、中国政府はテロとの闘いという名目で、新疆ウイグル自治区のイスラム教徒主体の少数民族への弾圧を続けており、その弾圧を裏付ける数多の証拠や証言が公表されてきた。
アムネスティはこれまで、収容所や刑務所などに恣意的に拘束されている120人の名前や残された家族のことを明らかにしてきた。拘束されている人の総数は、100万人あるいはそれ以上と言われている。
アムネスティ国際ニュース
2022年9月1日
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