- 2023年3月13日
- [日本支部声明]
- 国・地域:日本
- トピック:死刑廃止
本日3月13日、袴田事件の第2次再審請求の差し戻し審理において、東京高等裁判所が再審開始を認める決定を出した。アムネスティ・インターナショナル日本は、この決定を歓迎するとともに、東京高等検察庁に対し、再審開始決定への不服申し立てを行わないよう強く求める。
この決定を受けて裁判所は直ちに再審手続きを開始すべきだ。逮捕から57年、ねつ造の疑いのある証拠に基づく死刑判決が確定してから43年、これまで一貫して無実を訴えて闘い続けてきた87歳の袴田巖さんに残された時間は多くない。正義を求める袴田さんの闘いに、一日も早く決着をつけることが求められる。
2014年3月27日に静岡地方裁判所において再審開始決定が下された際には、検察庁の不服申し立てにより、さらに9年にわたって審理が続くこととなった。検察は、特別抗告により裁判所に不服を申し立てるという愚行を繰り返してはならない。袴田巌さんと彼の家族の長期にわたる苦痛を一刻も早く終わらせるよう、再審実現に協力すべきだ。
背景情報
元プロボクサーの袴田巖さんは、1968年に死刑判決を受けて2014年3月に釈放されるまで、46年間にわたり独居房に拘禁されていた。これは、死刑囚として世界で最も長い投獄である。袴田さんは1966年、働いていたみそ製造会社の専務一家4人を殺害した容疑で逮捕され、死刑判決を言い渡された。この事件では取り調べ過程における不公正な手続きや証拠の信憑性が問題となってきた。袴田さんは弁護士の立ち会いがないまま、20日間にわたる警察の過酷な取り調べを受け「自白」したが、公判では、暴行や脅迫を受けて強いられたものだったと、自白を撤回した。
2008年、2回目の再審請求後、裁判所の求めに応じ検察側は600以上の証拠を開示したが、その中にも、当初の証拠の信憑性に疑念を投げかけるものがあった。静岡地裁は2014年3月、証拠ねつ造の疑いを指摘し、無罪の可能性を示唆し、これ以上の拘置は「耐え難いほど正義に反する」として再審開始と釈放を決定した。しかし、これを不服とした静岡地方検察庁が即時抗告をした後の抗告審理で、2018年6月、東京高裁は地裁の再審開始決定を取り消した。この判決に対する弁護側の特別抗告を受けて抗告審理を担当した最高裁判所は、審理が尽くされていないとして2020年12月に高裁に審理を差し戻した。
アムネスティ・インターナショナルは、犯罪の種類や状況、犯罪の有無、個人の特質、死刑執行方法などを問わず、例外なく死刑に反対する。
2023年3月13日
アムネスティ・インターナショナル日本
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