米国:大多数の庇護希望者を危険にさらす新入管政策

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2023年5月20日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:米国
トピック:難民と移民

新型コロナウイスル感染症などの流入阻止を目的に庇護希望者を国境で即時退去処分にする「タイトル42」(公衆衛生法の「伝染病の流入を阻止する緊急措置」条項)が5月11日に失効することを受け、バイデン政権が公表した新たな移民政策は、アメとムチの誤った施策を採用している。

バイデン政権と南北アメリカ大陸の各国政府は、庇護を求めることは人権だということを再認識する必要がある。家族の再会や米国への人道的入国を後押しする一方で、庇護希望者の保護義務を放棄し、人権を行使し米南部国境で庇護を求める人たちに厳しい対応を取る。国境を目指す庇護希望者が危険を犯さなくても入国できる手立てが増えたことは高く評価されるが、その結果、庇護を求める権利を守るという米国の国際的義務を反故にするようなことがあってはならない。

アメリカ大陸でかつてない数の難民が発生する中、米国は同地域からの難民の受け入れを倍増し、家族の再会や被拘束者の仮釈放に向けた取り組みを強化すると公約した。この発表は、身の安全を求める人たちを庇護する上で重要な意味を持つ。また、カナダとスペインがアメリカ大陸からの難民の受け入れを拡大すると約束した。これらの国々の対応は評価に値する。しかし、受け入れ拡大が厳格な措置と組み合わされ、庇護を受けられなくなり、身の危険が増すことになるのは容認できない。特に黒人や褐色の人種、先住民が影響を受けやすくなる。

庇護希望者にCBP One モバイルアプリ(米国税関・国境警備局(CBP)のアプリ)で予約を取るというバイデン政権下の審査手続きは、新たな規定が導入されたに等しいが、これにより庇護希望者は深刻な暴力を受けかねないメキシコでの待機を余儀なくされる。

また米国政府が排除手続きの迅速化を進めれば審査は形骸化し、多くの庇護希望者が危険な母国に送り返される可能性が高くなる。この審査手続きは国際法違反にあたる。

バイデン政権が取るべき対応は、庇護を求める人に法律の専門家と相談する機会を提供し、冷酷な国境施設や拘禁施設でなく身の安全が確保された場所で庇護を求められるようにすることだ。

アムネスティはこれまでに、バイデン政権が、黒人の庇護希望者が直面する問題を考慮していないことを指摘してきた。彼らは過酷な法執行政策の影響を受けやすく、メキシコで暴力を受ける危険が高い。バイデン政権は、以前アムネスティが提案した施策の実施を検討すべきだ。具体的には、国境での庇護手続きの全面再開、大規模収容の見直し、庇護手続きで弁護士と相談する権利の確立、米国への非正規入国や再入国の非犯罪化などだ。これらの課題の実現は、ハイチ人など黒人の庇護希望者の正義と公平性を担保する上で欠かせない。

アムネスティ国際ニュース
2023年4月27日

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