トルコ:アムネスティ・トルコ名誉理事長ら人権活動家4人に無罪

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2023年6月21日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:トルコ
トピック:

アムネスティ・トルコ名誉理事長のタネル・クルチュさんと元事務局長のイディル・エセルさん、弁護士のギュナル・クルスンさん、支部創設メンバーのオズレム・ダルキランさんの4人に対する有罪判決が破棄された。4人は、テロ組織に関わったという根も葉もない容疑で実刑に処されていた。

根拠のない容疑での有罪判決を覆す今回の判断は大変歓迎できるが、4人の起訴をめぐる政治的動機があらためて浮き彫りになった。

2017年6月、当時アムネスティ・トルコの理事長だったクルチュさんが逮捕され、7月にイスタンブールで研修に参加していた10人の人権活動家が逮捕された。事務局長(当時)のエセルさんは、そのうちの1人だった。4人の有罪破棄は、タネルさんの逮捕からちょうど6年目のことだった。

今回の無罪判決で当局の茶番劇に終止符が打たれることとなった。有罪判決の破棄は当然だとしても、4人が罪に問われたという不当極まりない事実は残る。

アムネスティはこの6年間、4人に対する根拠なき容疑が、一連の裁判で事実として認められ、不正の歯車が回っていくのを見てきた。批判的な声を封じる手段として裁判を利用するという当局の政治的動機が、今回の裁判で明らかになった。

難民の権利の弁護士でもあるクルチュさんは2017年6月に逮捕され、14カ月以上勾留された。クルチュさんと10人は同じ事案として裁判にかけられ、2020年7月、4人に有罪判決が下された。クルチュさんは「テロ組織の一員」だとして実刑6年3カ月を言い渡され、他の3人は、「テロ組織への協力」で実刑25カ月を言い渡された。3人も逮捕後に審理が始まるまで3カ月あまり勾留された。

12回にわたる審理で、4人の容疑は、国家警察の捜査報告を含めまったく根拠がないことが証明された。

昨年には、欧州人権裁判所の大法廷がクルチュさんの拘束は人権侵害だとの判断を示していた。トルコ政府はこの判断を不服として欧州人権裁判所に再審理を求めたが、昨年5月、欧州裁判所は、クルチュさんが違法行為を犯したとする当局の嫌疑に合理性がなかったことを再確認する結果になった。また、2度目のテロ関連容疑での勾留は、「人権活動家としての活動に直接関連する」との判断も示された。

4人の受難は終わったかもしれないが、多くの人権活動家が、同じように根拠のない罪で投獄されたり、逮捕や訴追されたりする恐怖に怯えている。

それだけに今回の人権擁護者の勝利には勇気づけられる。国家の脅しに対し沈黙を拒否する人びとのために、私たちはトルコ政府の容赦ない人権弾圧との闘いを続ける。

背景情報

アムネスティ・トルコの創設に参加したクルチュさんとオズレム・ダルキランさんは、過去20年以上、同支部の一員として、またトルコ全体の人権活動コミュニティの一員として、人権擁護活動で重要な役割を担ってきた。

2017年7月の逮捕時、エセルさんはアムネスティ・トルコの事務局長だった。弁護士で国際刑法の専門家のクルスンさんは、アムネスティ・トルコの古くからの会員で、人権擁護者として知られた存在だ。

2016年のクーデター未遂を起こしたとみなされた「ギュレン運動」は、運動員間の通信にメッセージアプリ「ByLock」を使用したとされたが、クルチュさんもこのアプリを利用しているとみなされた。

しかし、アムネスティがクルチュさんの携帯電話を分析したところ、ByLockがインストールされた痕跡は見つからなかった。2018年6月、警察もまたクルチュさんの携帯にByLockの痕跡がないことを報告したことで、起訴の合理性が完全に崩れた。しかも、欧州人権裁判所が他の事案で出した結論のように、このアプリをダウンロードしたり使ったりするだけでは犯罪の証拠にならないという判断が示されている。

エセルさん、ダルキランさん、クルスンさんは、2017年7月5日の福祉とデジタルセキュリティに関する研修に参加した際に他の参加者8人とともに警察に拘束された。

2017年10月4日、この10人とクルチュさんが起訴された。クルチュさんは、研修の開催を認識していた上、2人の被告と接触していたとされたからだ。

10月26日に行われた初審問で、クルチュさんの裁判と他の10人の裁判の統合を求める検察側の申請が認められた。しかし、クルチュさんの起訴は研修とは無関係で、2つの事案はまったく関係がなかった。

検察側は、4人の人権擁護者の無罪判決を不服として上訴している。

アムネスティは以前、クルチュさんが逮捕された問題の検証結果を公表し、詳細な情報を提供している。

アムネスティ国際ニュース
2023年6月6日

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