- 2025年10月23日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:トルコ
- トピック:性的指向と性自認
トルコのLGBTI(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックス)の人びとを対象とした刑事罰の導入を提案する第11司法パッケージ(司法改革案)の草案が流出し、同国史上初めて、立法者がLGBTIのアイデンティティに関するあらゆる表現、同意に基づく同性間の性行為、そして性別適合医療の犯罪化を検討している可能性が明るみになった。
この法案が成立すれば、性別に関する固定観念や個人の表現方法、交際相手を理由に拘禁刑が科されるおそれがある。さらに、LGBTI関連問題について肯定的に議論することも「LGBTIの人びとを奨励・促進・称賛する」行為として犯罪化されるかもしれない。
これらの提案はLGBTIとその権利を擁護する人びとの権利に対する重大な脅威であり、決して日の目を見るべきではない。
こうした措置は「公衆道徳」や「家族制度」保護という偽りの名目のもと、実際にはトルコ社会の基盤そのものを脅かす。法案が成立すれば、LGBTIの人びととその支援者の人権を差別なく尊重・保護・実現するトルコ当局の義務に対する重大な違反となる。これは大きな後退であり、断固として抵抗し、拒否しなければならない。
背景情報
今回流出した66ページに及ぶ「トルコ刑法及び一部法律改正法案草案」には、トルコ刑法、トルコ民法、その他諸法の改正案が含まれている。LGBTIの人びとを標的とする措置をはじめとする司法改革案が公の場に出るのは、過去1年で3度目となる。過去2回は議会手続きに定められたように司法委員会では審議されなかった。
トルコ刑法第225条(わいせつ行為)の改正案では、「公然と性行為または露出行為を行った者」に対する刑期が最長3年に引き上げられ、新たに追加された第2項では「出生時の生物学的性別に反し公序良俗にもとる態度・行動を示した者、または公然とそうした行為を奨励・称賛・促進した者は、1年以上3年以下の拘禁刑に処する」と規定されている。
本案が議会に提出され可決された場合、同性カップルが婚約式や結婚式を挙げる行為は最大4年の拘禁刑に処される可能性がある。トルコでは同性婚は合法化されていない。
この改正の根拠として「心身ともに健全な個人と世代を育成し、家族制度と社会構造を保護するため」と説明されている。
さらに、流出した文書にはトルコ民法第40条の改正案も含まれており、この改正が現実のものとなれば性別適合手術は事実上不可能なほど困難になる。また法的性別認定を求める個人にさらなる障壁を設ける内容となっている。改正案には、性別適合手術の最低年齢を18歳から25歳に引き上げること、生殖能力を恒久的になくすことを要件として再導入すること、国家認定病院における追加審査(性別適合が個人の心身の健康に必要であることを証明する審査)の導入などが含まれる。
さらに性別適合手術を受ける者を犯罪とする新条項を刑法に追加することも提案されている。この新条項では、当該手術を実施する医療従事者も犯罪として処罰対象となり、拘禁刑が科される。
アムネスティ国際ニュース
2025年10月17日
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