米国:妊娠中絶を否定する最高裁判断から1年

  1. ホーム
  2. ニュースリリース
  3. 国際事務局発表ニュース
  4. 米国:妊娠中絶を否定する最高裁判断から1年
2023年7月 6日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:米国
トピック:性と生殖の権利

連邦最高裁判所が、人工妊娠中絶は憲法で保障された女性の権利だとする1973年の「ロー対ウェイド」判決を覆してから1年、米国の女性の権利はかつてない危機に見舞われている。

中絶を禁止する州は全米に広がり、出産可能年齢の女性や少女3人に1人が、妊娠中絶をまったくかほとんど認められない州に住む。その結果、中絶手術を受けるために何時間も移動しなければならなくなっている。

中絶を規制する州では、女性は過酷な現実に直面する。中絶制限が特に厳しい州では、妊産婦への支援が最も薄く、妊産婦の死亡率は高く、子どもの貧困率も高い。中絶の権利に反対する団体は、中絶禁止の強化、中絶希望者情報の提供者への報奨金、中絶薬の流通禁止、中絶情報の制限など、中絶の排除に躍起だ。

中絶への規制が一部で強まる一方で、多くの米国人が依然として安全で合法的な中絶の権利を圧倒的に支持しており、複数の州は中絶希望者への支援を強化し、各州の活動家は中絶の権利の擁護に懸命に取り組んでいる。

中絶は権利であり、基本的な医療であり、この権利の支持者は国内外を問わず、米市民の中絶の権利が保障されることを願っている。

中絶の権利が世界で着実に認められていく中で、米国では1年前、「ロー対ウェイド」判決が覆され、中絶の権利は大きく後退した。中絶に背を向けた米国は、中絶を規制する少数国(ポーランド、ニカラグア、エルサルバドルなど)に仲間入りした。米国は女性を危険にさらすという驚くべき手本を世界に示していることは確かだ。

一方でアイルランド、メキシコ、アルゼンチン、コロンビアなどで中絶の非犯罪化と合法化が進み、国際社会にとっても大きな前進となっている。

アムネスティ国際ニュース
2023年6月24日

英語のニュースを読む

関連ニュースリリース