イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:人質・囚人解放合意はさらなる解放と停戦持続への道を開くものでなければならない

  1. ホーム
  2. ニュースリリース
  3. 国際事務局発表ニュース
  4. イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:人質・囚人解放合意はさらなる解放と停戦持続への道を開くものでなければならない
2023年11月24日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
トピック:地域紛争

イスラエル軍とハマスなどのガザ地区の武装勢力の間で、150人のパレスチナ人被拘束者(多くは子どもたち)の解放と4日間の人道的な戦闘休止と引き換えに、少なくとも50人の人質(ほとんどがイスラエル人の女性と子どもたち)を解放することが合意された。

ハマスその他の武装集団が拘束している少なくとも50人の人質と、イスラエルの刑務所に拘禁されている150人のパレスチナ人が解放されるというニュースは、すべての関係者とその家族にとって歓迎すべきことだろう。

しかし、現在進行中の苦しみと不正義に対処するためには、はるかに多くの行動が必要である。

解放される人質にとって恐怖の日々は終わりとなるが、トラウマは長く続くだろう。アムネスティは全武装集団に対し、ガザで人質に取られ続けているすべての市民を直ちに解放するよう、あらためて要求する。拘禁されているパレスチナ人の解放は、人質解放の前提条件であってはならない。人質を取ることは戦争犯罪であり、民間人を拉致し自由を奪った者の罪は追及されなければならない。

また、イスラエル当局に対しては、起訴も裁判もなく行政拘禁されている人びとをはじめ、不法に拘禁されているすべてのパレスチナ人を釈放するよう求める。今回の合意で子どもたちも多く釈放されると予想されるが、その多くが有罪判決を受けていない。なかにはわずか14歳の子どももいる。イスラエルは、恣意的に拘禁したパレスチナ人を釈放する義務を常に守らなければならない。

アムネスティは調査で、パレスチナ人被拘禁者が置かれた状況がここ数週間で極めて悪化していることを浮き彫りにした。行政拘禁の急増、懲罰的な拷問や屈辱、残虐で非人道的な扱いを助長する「非常措置」の導入などだ。占領地での保護対象者に対する恣意的な拘禁、拷問その他の非人道的扱いは、戦争犯罪である。

4日間の人道的戦闘休止は、占領下のガザ地区で連日イスラエルの容赦ない猛攻撃にさらされている200万人以上の市民に束の間の休息をもたらすだろう。しかし、戦闘を数日間停止させるだけでは、壊滅的な苦しみに対処し、市民が受けた甚大な被害を軽減するには到底足りない。

アムネスティは、今回の休戦に関わったすべての交渉担当者、イスラエル当局、ハマスその他の武装勢力に対し、この人道的な休戦を持続的な停戦へと拡大するよう、権限と影響力の及ぶ限りのあらゆる手段を尽くすよう求める。人間性が優先されなければならない。ほんの少しでは到底足りない。

イスラエルの容赦ない砲撃はこれまでに大勢を殺害し、何百万人もの人びとに苦しみをもたらしており、その激しさと破壊と苦しみの規模において、他に例を見ない。ガザでは5,500人の子どもを含む14,000人以上が殺害された。10月7日のハマスなどの武装勢力による恐ろしい攻撃では、イスラエルで1,200人以上が死亡した。イスラエルによるガザ封鎖の強化は、水、食料、医薬品、燃料を切実に必要としている人びとから奪っている。ガザの民間人に対する集団的懲罰として意図的に行われた残酷な行為である。

アムネスティは、有意義で効果的な停戦をあらためて求める。すなわち、ガザ地区全域に対するものかつ苦しみを実質的に軽減するのに十分な期間であること、ガザ地区全域における市民と人道支援要員の自由で安全な移動が前提となっていること、死者の収容、埋葬、追悼、負傷者の適切なケアと治療、病院の修復、必要な物資の供給を可能にするもの、でなければならない。

また、国連人権高等弁務官事務所、イスラエルと被占領パレスチナに関する国連調査委員会、被占領地パレスチナに関する国連特別報告者、国際刑事裁判所、アムネスティなどの人権団体など、独立した監視団が、全当事者による違法な空爆や地上攻撃、その他の国際人道法違反など現地の状況について調査を行うために、ガザ地区への立ち入りを認めるよう、繰り返し要求する。

背景情報

合意された協定では、少なくとも50人のイスラエル人女性と子どもの人質が、4日間の人道的休戦期間中に解放される。さらに10人の人質が解放されるごとに、停戦は1日延長される。解放の対象にはさらに50人の人質と、イスラエル司法省が名前を公表した最大300人のパレスチナ人被拘禁者が含まれる可能性がある。報道によれば、休戦は最大10日間まで延長される可能性があるという。

アムネスティ国際ニュース
2023年11月22日

英語のニュースを読む