- 2025年11月28日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:日本
- トピック:性的指向と性自認

2025年11月28日、東京高等裁判所は、同性カップルに婚姻を認めない現行制度を「合憲」と判断した。この判決は、全国6件の同性婚訴訟のうち最後に下された高裁判決であり、他の5件がいずれも制度の問題点を指摘してきた中で、重大な後退を示すものである。
今回の判決は、同性カップルに対する差別的な制度を維持するものであり、日本における婚姻平等の実現に向けた動きに水を差す結果となった。司法判断の一部がこのような結論にとどまったことは、同性婚の概念や当事者の現実を十分に理解していない姿勢の表れといえる。
日本社会では、同性婚の法制化に対する支持が広がり、企業や自治体でも多様性を尊重する取り組みが進んでいる。にもかかわらず、同性カップルが法的に保護されない現状は、当事者の生活に直接的な不利益をもたらし続けている。
訴訟が最高裁に進む間にも、政府は立法によって問題を解決することが可能である。2023年に成立した、いわゆる「LGBT理解増進法」だけでは不十分であり、差別を禁止し、同性カップルの権利を実質的に保障する法制度の整備が急務である。
日本はG7で唯一、同性カップルの法的関係を認めていない国である。この状況は国際人権基準に照らしても深刻であり、改善を先送りすることは許されない。今回の判決を理由に停滞するのではなく、政府は婚姻の平等の実現に向けて積極的に動くべきだ。
背景
2025年11月28日、東京高等裁判所は、同性婚を認めない現行制度は憲法24条1項・2項および14条1項には違反しないとして、制度を合憲と判断した。一方で、東亜由美裁判長は、現在の状況が今後も続くのであれば「いずれ憲法違反が生じることは避けられない」と述べ、さらに「まず国会で十分に議論されるべき」と指摘した。
この判決は、6件の同性婚訴訟における最後の高裁判決にあたる。
2019年、東京、大阪、名古屋、札幌、福岡の5カ所で訴訟が提起され、2021年には東京で追加の1件が提起された。
最初の高裁判決は2024年3月の札幌高裁で、民法および戸籍法が同性婚を認めないことは、憲法24条1項・2項および14条1項に違反すると判断した。
その後、2024年10月には東京高裁が24条2項および14条1項の違憲判決を出し、12月には福岡高裁が同様の判断を示すとともに、幸福追求権を定める13条の侵害も指摘した。
2025年3月には、名古屋高裁と大阪高裁が、24条2項および14条1項への違反を理由に違憲と判断した。
すべての高裁の判断が出そろい、今後は最高裁の判断が待たれている。
アムネスティ国際ニュース
2025年11月28日
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