- 2026年1月26日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:米国
- トピック:

トランプ大統領の政権復帰から1年となる1月20日、アムネスティは米国における権威主義的行動の増加と人権への壊滅的な被害について警鐘を鳴らす報告書を発表した。
報告書は、市民が自由に発言・活動できる開かれた社会空間の縮小や、法の支配の弱体化など、トランプ政権による権威主義的行動の激化が、米国内外で人権を蝕んでいる実態を明らかにしている。
「われわれはみな、トランプ大統領が導く危険な道が、人権危機を招いているのを目の当たりにしている。規範をズタズタにし、権力を集中させることで、政権は自分たちに対する責任追及を不可能にしようとしている。トランプ政権によるこうした権威主義的実践が人権を蝕み、ジャーナリストや、抗議者、弁護士、学生、人権擁護者など声を上げたり異議を唱える人びとが高い危険にさらされていることは疑いようがない」(ポール・オブライエン、アムネスティ米国事務局長)
報告書は、トランプ政権が自由社会の基盤を破壊している12の分野について詳述している。具体的には報道の自由・知る権利、表現の自由・平和的集会の自由、市民社会組織・大学、政治的に対立する人たち・批判者、裁判官、弁護士、司法制度、適正手続き――こうした分野への攻撃についてだ。さらに、難民・移民の権利への攻撃、特定のコミュニティを悪者扱いし責任転嫁する行為、差別禁止・差別からの保護体制の後退、国内目的での軍事動員、企業に対する責任追及の枠組み・汚職防止措置の解体、実質的な監督体制のない監視の拡大、人権保護を目的とした国際的な枠組みの弱体化を図る動きについても、記している。
これらの権威主義的戦術は相互に補強し合っている。大学キャンパスでの抗議活動で学生が逮捕・拘束され、覆面をした移民関税執行局(ICE)職員が地域社会全体を襲撃し恐怖に陥れ、全米の都市における軍事化が常態化しつつある。同時に、報道機関への威圧は人権侵害の暴露を困難にし、抗議活動への報復は発言を萎縮させ、監視と軍事化の拡大は異議申し立ての代償を高め、裁判所・弁護士・監督機関への攻撃は責任追及を阻んでいる。 こうした戦術は明らかに人権を蝕んでいる。表現の自由、平和的集会の自由、報道の自由、情報を入手・利用する権利、平等と非差別、適正手続き、学問の自由、恣意的拘禁からの自由、庇護を求める権利、公正な裁判を受ける権利、さらには生命の権利さえもが脅かされている。
アムネスティは長年、世界各国で同様のパターンを記録してきた。状況は異なるものの、各国政府は権力を集中させ、情報を統制し、批判者を貶め、異論を罰し、市民的空間を狭め、責任追及のための仕組みを弱体化させている。
「米国における市民的空間と法の支配への攻撃、そして人権の後退は、アムネスティが数十年にわたり目の当たりにし警告してきた世界的な状況と酷似している。何より重要な点は、われわれがこれまで目にしてきたように、権威主義的な動きが完全に定着する頃には、権力乱用を抑制すべき機関は既に深刻な機能不全に陥っているということだ」(ポール・オブライエン)
本報告書でアムネスティは、権威主義の実践を受け入れるのではなく覆し、抑圧の増大と人権侵害の増大が常態化するのを防ぐために、包括的な提言を提示している。対象は、米国行政府、議会、州・地方政府、法執行機関、国際的な関連機関や団体、各国政府、テクノロジー企業をはじめとする企業、市民だ。そして、市民社会の保護、法の支配の回復、責任追及の強化を求め、人権侵害が無視されたり避けられないものとして受容されないための緊急行動を呼びかけている。
「われわれは別の道を切り開くことができるし、そうしなければならない。権威主義的行動は、常態化が容認された時にのみ根を下ろす。米国でそのような事態を許してはならない。われわれ全員には、この歴史的な困難な時代に立ち向かい、人権を守る機会と責任がある」。
アムネスティ国際ニュース
2026年1月20日
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