- 2026年6月 3日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:スリランカ
- トピック:

アムネスティは新たな報告書で、スリランカで民間の茶農園や小規模農園で働いているマライヤハ・タミルの人びとが、国際労働機関(ILO)が示す強制労働の指標の多くに該当する人権侵害にさらされ、国内で定められている厳格な労働者保護も受けられていないことを明らかにした。
マライヤハ(タミル語で「山の・高地の」の意味)・タミルの人びとは、19世紀初頭、茶畑での労働のため、英国の植民地政策のもとインド南部からスリランカに連れてこられた労働者の子孫で、組織的で構造的な人種差別と排斥を長年にわたって受けており、そのために強制労働にさらされやすい。
南部州の労働者の苦境を記した報告書からは、社会から取り残されたマライヤハ・タミルの人びとが、脅迫や威嚇、暴行や嫌がらせ、借金による束縛、移動の制限、劣悪な労働環境・生活環境など、幅広い人権侵害を受けている実態が浮かび上がる。しかし国は、労働者に対するこうした虐待に対処できておらず、社会保障、労働組合結成、法制度利用といった労働者の権利を保障する義務も怠っている。
スリランカの民間の茶農園は、マライヤハ・タミルの労働者たちの処遇に関し、組織ぐるみで労働法に違反しているにもかかわらず、処罰を受けることがない。アムネスティが調査で訪れた各農園で労働者は、暴行、借金による束縛、賃金の不払いや支払い回避、劣悪な生活・労働環境など差別や虐待を一様に訴えており、強制労働が強く懸念される。法的な保護措置があるにもかかわらずこうした人権侵害が続いているのは、労働者保護と権利保障を国家が十分に果たせていないことを示す。
スリランカには、国内法、ILOの加盟国としての国際法のもと、強制労働を撲滅する明確な義務がある。当局は、早急にこれらの茶農園に対し立ち入り検査を優先的に実施し、労働権侵害の実態を把握すべきだ。そのうえで徹底的な調査を行い、責任者の訴追と労働者に対する実効的な救済につなげなければならない。
報告書は、アムネスティが2024年1月から2026年1月にかけて行った調査に基づく。スリランカ南部の南部州ゴール県とマタラ県にある45の茶農園を訪れ、159人の労働者と2人の茶農園管理者、3人の監督者に聞き取り調査を行った。 計65人の労働者に対しグループでの聞き取りも15回行った。
強制労働などに対する積年の懸念
マライヤハ・タミルの人びとは、今日に至るまで、生計、住宅、福祉を雇い主に依存しており、そのため、劣悪な生活や労働環境、労働法違反に異議申し立てができない。
訪問した45の茶農園すべてで、労働者たちは雇い主から住居を与えられており、強制退去を恐れながら生活していた。
15人の茶農園の労働者がアムネスティに語ったところによると、仕事に遅れたり、未払いの賃金などについて質問したりすると、農園管理者から言葉による虐待や身体的虐待を、自身で受けたか他の人が受けるのを目撃したという。
ある労働者はこう語る。「もし働かず、目標に達しない時は、殴られる。手や足を棒で打たれる。見るに堪えないほど打たれる人もいる。今でもそうだ」。
農園管理者はしばしば、非現実的な収穫目標を根拠にもっともらしい口実を挙げて賃金の支払いを渋り、労働者が生活費を賄うために前払い賃金やローンに頼らざるを得ない状況に追い込み、さらなる借金を抱えさせている。
訪問した45の茶農園のうち27の農園が、労働者に1日25kg以上の茶を摘むように命じていた。この非現実的な目標を達成できないときは、わずか1,000スリランカ・ルピー(約500円)という日当が減らされ、あるいは支払いが遅延される。
別の労働者は、「決められた仕事が終わらなければ、3日分の仕事を1日の仕事にされる。仕事が終われば、1,000スリランカ・ルピーが支払われる」と話す。
こうしたやり方のせいで、農園主に対する借金がかさみ、身動きが取れなくなる。労働者は何世代にもわたって雇用主から離れることができず、強制労働をさせられるのだ。
少なくとも22の農園で労働者たちは、門限や旅行許可の必要など、移動の自由に制限があると話した。彼らの生活環境もまた、借地借家権の安定(貸主から一方的に立ち退きを要求されることのないよう借り主の権利を保護する原則)、十分な広さ、適切な衛生設備などの適切な住居の権利を構成する重要な要素を満たしていない。
労働者保護がない
国内法で定められた労働者保護措置を国家が実施しておらず、マライヤハ・タミルの茶農園労働者がその恩恵を受けられていないことで、こうした人権侵害はさらに深刻化している。
民間および小規模農園の農園主は、マライヤハ・タミルの労働者を、搾取を容易にするよう「臨時労働者」と不当に分類し、あらゆる労働関連の法的権利や基本的な法的給付を認めていない。産前産後手当、年金、病気休暇を受けられている人は、ほとんどいない。
マライヤハ・タミルの労働者たちは、司法の利用、特に人権侵害や劣悪な労働環境に対する救済を得るうえで、さまざまな問題に直面している。保護を担う国の担当者が通常彼らの言語を解さないことによる言葉の壁、役人による差別的な扱い、雇用関連の書類が入手できないことなどだ。労働組合の代表機能は多くの場合まったく存在しないか、あるいは雇用主に禁止されており、調査で訪問した農園には活動している組合がなかった。
調査では、マタラ県とゴール県の茶農園で労働監督と雇用基準の施行に重大な問題があることも明らかになった。
マライヤハ・タミルの労働者たちに対する搾取は、根深い差別や極度の社会的疎外、彼らを法の保護の対象外だとする制度的な誤った位置づけの上に成り立っている。アムネスティは当局に、法を全面的に執行するとともに、マライヤハ・タミルの人びとの権利行使を妨げている障壁を取り除き、民間の茶農園全体にわたって労働者保護と責任の明確化を強化するよう求めている。
アムネスティ国際ニュース
2026年5月27日
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