サウジアラビア:フィリピン人家事労働者への搾取と性暴力

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2026年7月28日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:サウジアラビア
トピック:女性の権利

サウジアラビアでケニア人の家事労働者が広範な虐待を受けていることをアムネスティが報告してから1年がたち、今度はフィリピン人女性が、長時間労働、搾取、品位をおとしめる扱い、場合によっては性暴力を受けていることが明らかになった。

アムネスティの報告書『一歩彼らの家に入ったら、もう人間とはみなされない~サウジアラビアにおけるフィリピン人女性家事労働者の証言』は、2023年から2026年にかけてサウジアラビアから戻った19人のフィリピン人女性の体験を記したものだ。聞き取りによると、女性たちは、雇い主の家に入ったとたん、契約条件は事実上意味を失い、雇い主の絶対的な権力に従うしかないという状況に陥る。その詳細は、2025年にアムネスティがケニア人女性に聞き取りした内容の多くと重なる。彼女たちは、仕事内容について人材仲介業者に常にだまされ、過酷で虐待的な環境に置かれるとともに、人種差別にさらされていた。

彼女たちの体験は極端な事例ではない。悲惨な証言が浮き彫りにしているのは、4百万人を超える家事労働者がいる国で、国が容認する搾取が、今なお続いているという憂慮すべき事態だ。サウジアラビアで働くということが、あまりにも多くの労働者にとって、深刻な虐待や脅しと隣り合わせになっていることは明らかだ。

非常に深刻なケースの多くで、家事労働者が受けている虐待は強制労働にあたり、多くは労働搾取目的の人身売買に該当する可能性もある。

家事労働者の人生を左右する雇用主

サウジアラビアでは、外国人労働者は今なお国内労働法の対象外で、2023年に定められた家事労働者規則によって管理されている。過去の規則よりは改善されているが、依然として同等の保護を受けられず、国際人権法および国際労働基準にも適合していない。

証言によると、女性たちの福祉は、最初に署名した契約や、彼女たちを保護すべき法や規制より、雇用主の意向に左右される。労働時間は、法定上限をはるかに超え、日々14時間から21時間に及ぶ。日々の休憩時間は決まっておらず、昼食休憩はなく、ほとんどの場合、休日も与えられない。

アデリナ(仮名・以下すべての女性の名前は仮名)さんは、2年間で1日の休みもなしに働いたと言い、ジョイ(仮名)さんは、1日20時間労働は普通のことと話す。ジェマさんの仕事量は非常に過大で「食事時間を含めた休憩時間はたった10分間」だった。雇用主からはいつも「私がお前を国から連れて来た。だから何をしても良いのだ。」と言われたそうだ。

別の女性たちは、雇用契約に反して、複数の世帯で働かされた。5軒の家庭で働かされたハナさんはこう話す。「雇用主の家、その母親の家、兄弟たち、そして親戚の家。5つの家庭すべてで働かされた。毎日、週7日、家から家へと移動して」

「虐待から逃れられない」

移動の自由がないことに加え、パスポートの没収が横行し、さらに許可なく国外に出ることへの法的制限があり、また現地の言葉と制度に不慣れなために、聞き取りをした家事労働者の多くは、仕事の面だけでなく、虐待から逃れて帰国しようとする場合であっても、雇用主に実質的に頼らざるを得ない状況にあった。

クレオさんは、サウジアラビアに2023年末に着いた。雇い主は数カ月にわたって彼女を家の外へ出さなかったうえ、盗みを働いたと決めつけて冷蔵庫に鍵をかけ、食事を十分に与えなくなった。

帰国するために人材紹介会社に送り返すよう雇い主に頼んだが、そう簡単にはいかず、家から何も盗んでいないことを確認するためと雇い主から過度な身体検査を受けるなど、非人道的で品位を傷つける扱いにさらされた。

「フィリピンを離れるのはとても簡単だったが、帰るのは本当に大変だった」とクレオさんは言う。「雇い主の家を出る前に、全裸にされ、身体の隅々まで調べられた」

何人かの女性は、男性の雇用主や男性の親族と2人きりになったときに、セクハラや性的暴行を受けた、と証言した。

虐待疑惑はすべて調査すべき

ケニアとフィリピンの家事労働者の証言に共通していたのは、サウジアラビアの家事労働者にとって女性が虐待を受けるのは、当たり前の現実だということだ。

雇用主が移住労働者の保証人になるカファラ制度が、いまだに、労働者を雇用主に縛り付けている。雇用主は、彼女たちが入国した時点から雇用中ずっと、正式な身元保証人(カフィル)の役目を果たす。制度改革は行われたものの、家事労働者はほとんどその恩恵にあずかっておらず、すべての移住労働者にとっても、カファラ制度の搾取的要素は実態としては変わらない。

ケニアやフィリピン、そしてその他の国から、サウジアラビアで働くためにやってきた女性の権利は、繰り返し搾取され、政府の無策と、搾取を助長し制度的人種差別を永続させる労働制度がそれに拍車をかけてきた。

アムネスティはサウジアラビア政府に、性暴力などの虐待の申し立てをすべて直ちに捜査し、加害者を法の下で裁くとともに、効果のある査察を導入し、労働者が転職や出国の際に、雇用主の同意を義務付けるあらゆる要件をすべて撤廃し、カファラ制度を完全に廃止することを求めている。彼女たちは自分たちの意思で出国できるようにすべきだ。フィリピンをはじめとする海外に労働者を送り出している国もまた、自国民を人権侵害から守る義務がある。

さらにアムネスティは、家事労働者を労働法の適用対象とし、平等な権利を保障するとともに、虐待を行う雇用主を処罰するなど、現行の保護を効果的に実施することも求めている。

アムネスティの調査結果に対する政府の反応

アムネスティの調査結果に対応し、サウジアラビア政府は、家事労働者は現行の規制の下で保護され、虐待の申し立てはすべて重く受け止め、調査を行うと述べた。政府は、保護と法執行の強化を目的とした措置を強調した。契約の標準化や、賃金保護制度、保険制度、苦情処理の仕組み、雇用主が虐待あるいは規制違反をしたときに、労働者が転職するための手段などだ。

しかしデータ開示の要求には応じず、家事労働者保護のための、改革などの施策の履行と強化に関する詳細な質問に対しても回答はなかった。さらに、今回の報告書で示されたアムネスティの調査結果は、これまでの調査と一致しており、現存の保護措置は、家事労働者を虐待から守るにはまったく不十分だと考えられる。

※家事労働者を守るために仮名にしています。

アムネスティ国際ニュース
2026年7月9日

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