ペルー:ペルー/チリ:裁かれるフジモリ。被害者の権利

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2005年12月19日
国・地域:ペルー
トピック:「テロとの闘い」における人権侵害
アムネスティ・インターナショナルは本日発表した報告書の中で、現在ペルー政府により訴追されているフジモリ元大統領が関わった多数の人権侵害について明らかにしている。

それらの人権侵害には、第一級謀殺や、強制的失踪などが含まれている。フジモリ氏は現在、チリで拘束されている。

この報告書は、フジモリ氏が在任中に犯した犯罪を裁くよう求める、アムネスティの最新のキャンペーンの一環として発表された。1991年、リマのバリオスアルトス地区における15人の男女、子どもの虐殺、1992年のラ・カントゥータ大学の9人の学生および教員1人の強制的失踪と殺害に関する詳細が含まれている。
「チリ政府は、フジモリ氏に対して起こされている人権侵害に関する20件の告訴を調査し、チリもしくはペルーにおいて元大統領を司法の裁きにかけるという法的・道義的責任を負っている。」アムネスティは本日、そのように述べた。

多くの人権侵害事件は、準軍事組織として1992年に国家情報局内に設置された「コリーナ部隊」によるものとみられている。この部隊は、アルベルト・フジモリ大統領の側近であり、「諜報」部門の大統領顧問でもあったブラディミーロ・モンテシーノス氏の指揮下にあった。

モンテシーノス氏を含む、「コリーナ部隊」に関わっていたとされる57人が、現在、ペルーで裁判にかけられている。彼らは、バリオスアルトス事件およびラ・カントゥータ事件に関して、犯罪集団構成罪、加重誘拐、第一級謀殺、強制的失踪、1992年のアンカシュ県エル・サンタ(町)の住人9人に対する誘拐および殺害、そして同年の、リマのウアチョにおけるジャーナリスト、ペドロ・ヤウリ・ブスタマンテ氏の失踪および殺害の罪に問われている。

2005年9月、「コリーナ部隊」に所属していたとして告発された3人が、訴追されていた犯罪への関与を認め、告発されていた罪状について有罪であることを認めた。

「元「コリーナ部隊」メンバーの供述は準軍事組織の存在を認めたばかりでなく、諜報機関とアルベルト・フジモリ氏との繋がりを明らかにしている。」とアムネスティは述べた。

「フジモリ政権下のペルーで行われた人権侵害は組織的なもので、免責が合法化されていた。これらの人権侵害事件の大規模かつ組織的な性質は、人道に対する罪を構成する。すなわち、私たち人類すべてに対する犯罪である。」

「チリを含むあらゆる国々は、人道に対する罪を犯した者、あるいは犯罪の実行を指示した者について、捜査し、必要に応じて訴追、処罰する義務を負っており、これらの者の拘束、逮捕、送還、処罰に協力しなければならない。」

背景情報

2005年11月7日にアルベルト・フジモリ氏はペルー政府の要請によりチリにおいて逮捕された。フジモリ氏に対する引渡し請求は数週間のうちになされる予定である。

チリ最高裁判所長官オルランド・アルバレスは、犯罪集団構成罪、公金横領、文書偽造、第一級謀殺、バリオスアルトスの虐殺に関連する重傷害と強制的失踪、ラ・カントゥータ事件における殺人および強制的失踪などの容疑について、元大統領の仮逮捕のための令状を発行した。

1932年のチリ・ペルー間犯罪人引渡条約によると、ペルー政府は60日以内に、正式な引渡し請求をチリ政府に請求することになっている。引渡しに関する決定はチリ最高裁によりなされる。この事件は最高裁判事オルランド・アルバレスにより審査される。

1980年以降、主要な反政府武装勢力であるセンデロルミノソや、トュパクアマル革命運動(MRTA)により数多くの深刻な人権侵害が行われてきた。これらの勢力のリーダーや構成員は、現在彼らが犯した残虐行為に対する刑に服している。

報告書「Peru/Chile: Las graves violaciones de derechos humanos durante el mandato de Alberto Fujimori (1990-2000)」については、以下をご覧ください
http://web.amnesty.org/library/index/eslamr460072005

アムネスティ発表国際ニュース
(2005年12月5日)
国際人権法チーム 翻訳
AI Index:AMR 46/015/2005

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