3月9日、アムネスティは報告書「禁じられた通信:北朝鮮における徹底的な情報統制」を世界中に公表しました。

報告書は、調査員が約1年かけて、北朝鮮から韓国や日本へ逃れてきた人たちに聞き取りを行い、携帯電話やインターネット利用に対する金正恩体制の監視や検閲を調べ、その実態を詳述しています。

翌日10日には、アムネスティの東アジア地域事務所所長ニコラ・ベクランと、調査を担当したアーノルド・ファンが来日し、東京で報告書発表の記者会見をおこないました。会見には約15名の記者が参加し、NHK朝日新聞デジタルなど多くのメディアでその様子が取り上げられました。

北朝鮮の人権状況に関しては、2014年、国連の調査委員会が包括的な報告書を発表し、公平な裁判もなく拘束され、拷問や虐待、強制労働を強いられる、処刑される人、飢えで苦しむ人びとなどの過酷な暮らしを明らかにしています。

Nicholas Bequelin(ニコラ・ベクラン)Nicholas Bequelin(ニコラ・ベクラン)

会見では、ニコラが「北朝鮮は情報統制を徹底することで人びとを外の世界から隔絶し、国内の悲惨な状況を隠そうとしている」と主張。人びとの声が外に漏れ、また人びとが自分たちの置かれている状況を認識させないようにしており、政府の情報統制が、国連の報告するような深刻な人権侵害を根本から支え、助長させていると語りました。

Arnold Fang (アーノルド・ファン)Arnold Fang(アーノルド・ファン)

アーノルドは、近年、市民の間には携帯電話などの通信機器が普及し始め、政府が最先端の監視技術を投入するなどして、情報統制をより一層強めていることを報告。北朝鮮の人びとにとっては、深刻な人権侵害を逃れ、国に残した家族の安否を確認することさえも、命がけだと語りました。

北朝鮮の人びとが国際電話をかけるためには、中国から密輸した「違法」で、「高額」なケータイを使わなければいけないこと、電話が通じたとしても当局の探知器に発見されないように通話を1分以内に終わらせなければならないこと、当局に見つかれば、恐ろしい人権侵害で名高い政治囚強制収容所などの拘禁施設に送られ、拷問や強制労働を強いられることもあることなど、調査で明らかになったことを伝えると、参加された記者の方たちは、真剣に耳を傾けていらっしゃいました。

ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。

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キャンペーンを実施(3月末公開)

アムネスティは、今後、北朝鮮政府が不当な監視や取締りをなくし、北朝鮮で暮らす人びとが自由に外の世界と通じることができるよう、世界中でキャンペーンを展開します。ぜひ、ご参加ください!(キャンペーンページは3月下旬公開予定)

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開催日 2016年3月10日(木)
場所 アムネスティ・インターナショナル日本 東京事務所
主催 アムネスティ・インターナショナル日本 

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