- 2005年6月23日
- 国・地域:イタリア
- トピック:難民と移民
「刑法犯ではない人びとを収容するのは行き過ぎた制裁措置であり、国際難民基準に則って、難民として庇護を求める人びとの収容は、例外的な場合を除き、収容されるべきではない」とアムネスティ・欧州部長のニコラ・ダックワースは語った。「同様に、イタリアに許可なく入国または在留している移民の収容も、国際人権の原則に基づき、法に則ってのみ行われるべきである」
イタリアでは毎年、不法入国、不法入国未遂、不法滞在を理由に、庇護を求める難民を含む何千もの外国人が、国外退去を命じられたり入国を拒否されたりしている。こうした人びとの多くは、国外退去を待つ間、「一時滞在・援助センター」に時として最長60日間まで収容される。
2か月前、難民申請者の大半を「審査センター」に収容することを認める法律が施行された。通常より早い処理で審査されることになっているが、難民申請の結果を待つ間、同センターに収容される。
報告書では、「一時滞在・援助センター」に収容されている人びとが法執行官や監督官に身体的暴力を受け、鎮静剤・精神安定剤を過剰投与されているという申立てについて詳しく紹介している。こうした人びとの多くは、収容と国外退去命令の違法性を問うために必要な専門家の助言を受けることが困難である。脱走未遂や自傷など、頻繁におこる抗議行動のため、センター内には強い緊張感が漂っている。センターは往々にして過剰収容状態で、生活設備は不適切、生活環境は非衛生的で、医療も不十分である。
国家は、それぞれの領土への外国人の入国、在留の管理および国外退去について主権を有している。しかしながら、この権利は国際的な難民・人権法および基準に則って行使されなくてはならない。法的地位にかかわらず、庇護を求める難民や移民の基本的権利を犠牲に国家の主権は行使されてはならないのである。
センターを訪問することは一層制限されるようになり、アムネスティの訪問申請も却下されつづけている。すべての被害申立ての事実を確認することは不可能とはいえ、件数、内容の整合性、頻度を、国際政府間組織や信頼できる国内外のNGOの結論とあわせて考えると、センターに関する人権侵害の申立てには信憑性がある。
一時収容施設に収容されている人の多くは、難民認定の手続きを開始することが困難となっており、その結果、重大な人権侵害を受けるおそれのある国ぐにへ帰国させられている。咋年1年間、船で入国しようとして拘束されたグループを、国際難民基準に反して、個別の状況への考慮もなしに強制退去させることをイタリアは繰り返し行った。イタリア政府の海路経由の入国に対する措置は、難民庇護を求める基本的な権利と重大な人権侵害のおそれがある国への強制的な送還を禁じるノン・ルフールマンの原則に違反する。
この問題を優先課題として取り組むことを促す勧告をアムネスティは作成した。勧告では、収容センターに収容されている人びとに適用される重要な国際基準を示し、また外国人の「強制送還」手続きの指針も示し、2005年5月に欧州評議会閣僚会議で採択された国際法により定められている既存の権利に注意を払うよう、アムネスティはイタリア政府に訴えた。
「今こそイタリア政府は、在留資格を持たない移民や難民申請者の収容とその条件、処遇に関する現行の政策、法制度と運用を見直し、国際人権・難民法を確実に遵守する時だ」と、ニコラ・ダックワースは語った。
報告書「イタリア:一時滞在---不変の権利:「一時滞在・援助センター」に収容された外国籍市民の取り扱い」をご覧になりたいかたは、こちらをクリックしてください。
http://web.amnesty.org/library/index/engeur300042005.
アムネスティ発表国際ニュース
(2005年6月20日)
AI Index: EUR 30/007/2005
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