- 2022年11月16日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イタリア
- トピック:難民と移民
イタリア当局は11月6日、シチリア島カターニア港に入った救助船に乗っていたリビア人庇護希望者179人のうち35人の下船を拒否し、船に出港を命じた。
海洋法では、救助が終了するのは、救助された人びと全員が安全な場所で下船した時点だと明確に規定されている。人びとが海上で命を落としかねない窮地を凌ぎ、心身ともに苦しんでいる時、同法を勝手に解釈する余地はない。
35人を船内に留める措置を取ったイタリアは、人権法と海洋法に基づく庇護を求める人びとの受け入れと保護という国際的義務に違反するだけでなく、拒否された人びとや船の乗組員をさらに危険にさらすことになる。
当局には、今も船に残る人びと全員に一刻も早い下船許可を出すことが強く求められている。また、他のNGOの救助船に乗っている数百人にも直ちに下船を認め、安全な場所で支援を受けられるようにする責任がある。
イタリア政府は、市民に人権侵害を加えるリビア政府を支援するという恥ずべき対応を取ってきたが、かろうじてリビアを脱出できた人びとの上陸拒否は、彼らにさらなる苦しみを与えるものだ。
イタリアが他のEU加盟国に庇護希望者に対する責任分担を期待するのはもっともだが、だからといって、憔悴する人びとにさらに鞭打つような措置を正当化することはできない。
背景情報
イタリア当局は11月6日未明、カターニア港に入港したドイツ船籍の救助船「ヒューマニティ1号」に乗っていた人びとに保健当局による身体検査を実施した上で144人に下船許可を出したが、残る35人は下船を認めないまま同船に出港を命じた。
同船が救助した人びとは、リビア当局に拷問や虐待、不当拘束などを受けるおそれがあった。地中海中央部を粗末な小舟で決死の横断をしているところをヒューマニティ1号に救助され、2週間近くこの救助船上で過ごしていた。
アムネスティ国際ニュース
2022年11月6日
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