- 2023年11月15日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イタリア
- トピック:難民と移民
イタリアとアルバニアの両首相は11月6日、イタリア船に救助された人々を収容する施設をアルバニアに2カ所建設する協定書に署名した。庇護を求める人たちも収容の対象となる。
イタリア当局に救助された人たちの管轄権はイタリアにあり、難民申請や個々の事情を検討する前に、別の国に移送することはできない。この原則は単純明快だ。
この協定は、国際法や欧州法が禁じるルフールマン(フランス語で「送還」の意)にあたる。ルフールマンに関して、イタリアはこれまでも欧州人権裁判所から強い批判を受けている。協定は違法であり、非現実的であり、廃棄されなければならない。
イタリアは拘束した人たちを同国の管轄下に置くと主張するが、現実には、この協定は、国内法、EU法、国際法を回避するために利用されるだろう。
その結果、庇護を求める人たちが深刻な事態に陥るおそれがある。イタリア司法当局の監視の目が届かない中、長期にわたる拘束などの人権侵害を受けかねない。欧州委員会はすでに、EU難民法はEU外では適用されないと明言している。
協定内容の詳細は不明だが、すでに多くの懸念が出ている。アムネスティはイタリア政府に対し、国際法上の義務であるノン・ルフールマン原則(迫害のおそれのある国への追放・送還禁止)を守り、庇護を保障することを求めている。また欧州委員会には、加盟国に庇護に関する法規を遵守させるよう求める。
背景情報
ルフールマンは、人権侵害のおそれがある国に送還することを意味する。ルフールマンからの保護は、庇護希望者や難民の基本的権利だ。
ノン・ルフールマンの原則は国際難民法の中核をなす基本原則であり、また国際慣習法の一部としてすべての国が法的に拘束される。この原則は、EU法においてもTFEU(EUの機能に関する条約)第78条1項、EU基本権憲章第18条と第19条に明記されている。
2018年、欧州委員会は域外へのEU法適用は今のところ不可能だと表明している。
イタリアは2012年、航海上の押し戻しに関わる当時の事案で、欧州人権裁判所からノン・ルフールマン原則に違反したとして強い批判を受けた。
アムネスティ国際ニュース
2023年11月7日
英語のニュースを読む
関連ニュースリリース
- 2024年5月24日 [国際事務局発表ニュース]
イタリア:ロマへの住宅政策は欧州社会憲章違反 政府は早急の対応を - 2024年1月31日 [国際事務局発表ニュース]
イタリア:アルバニアとの移民協定は有害で違法 議員は否決を - 2022年11月16日 [国際事務局発表ニュース]
イタリア:港に辿り着いたリビア人全員の受け入れを - 2019年7月12日 [国際事務局発表ニュース]
イタリア:欧州委員会 ロマの人びとの保護に動く - 2019年7月 9日 [国際事務局発表ニュース]
イタリア:救助船船長を釈放