- 2005年7月27日
- 国・地域:ネパール
- トピック:子どもの権利
本日公表された報告書「ネパール:紛争から逃れられない子どもたち(Nepal: Children caught in the conflict)」は、ネパールの子どもたちが殺害され、不法に拘留・虐待され、強かんされ、また軍事活動のために徴用されていることを報告し、紛争当時者である両者が、最も基本的な子どもの権利を侵害していると非難している。
アムネスティのアジア太平洋地域プログラム部長であるプルナ・センは、「この紛争はネパールの子どもたちにとっては大惨事である」と語った。「何百人という子どもたちが爆弾や即席爆弾で死亡している一方、直接、紛争の当事者らの標的となっている子どもたちもいる。何千という子どもたちが家から避難せざるを得ず、極貧と搾取に直面している」。
紛争の当事者は子どもの殺害に責任がある。毛沢東派が治安部隊の隊員の子どもを誘拐して殺害している一方で、治安部隊は毛沢東派に関与していると疑いを持った子どもたちを殺害している。同時に、民間施設を故意に爆撃し、民間施設のある地域に即席の爆弾を仕掛けることによって、多くの子どもたちに死をもたらした。
また、毛沢東派の抵抗勢力と関係があると疑われた子どもたちが、長期間にわたって兵舎や警察署や刑務所に拘禁され、しかも大半が大人と一緒に拘禁されているという気がかりな報告も複数ある。子どもたちの多くが拘禁中、治安部隊による虐待を受けたと報告している。
このような子どもたちの取り扱いは、人権に関するネパール政府の義務に反している。子どもの権利条約は、「自由を奪われた全ての子どもは、人道的に、・・・かつ、その年齢の者の必要を考慮した方法で取り扱われること」としている。また、拷問その他の残虐な非人道的な取り扱いは、同条約と市民的および政治的権利に関する国際規約(自由権規約)において禁止されている。
アムネスティが実施したインタビューで、チャンドラ・マーラは、彼女の夫が治安部隊に殺害された後、どのように警察が自宅にやってきて10歳の息子を拘束したかを我々に語ってくれた。治安部隊は彼を家から引きずり出し、毛沢東派だと非難してピストルで彼を殴りつけた。10歳の息子は、6日間拘留され全身をプラスチックのパイプで殴打されたのだった。釈放後も治安部隊は彼の家を訪れ、12歳になる姉を強かんすると脅していた。
アムネスティは、「捜索活動」中に治安部隊によって強かんされた少女たちの報告を受け取っている。ネパール中西部出身のある15歳の少女は、村で夜間捜索が行われた時、治安部隊の兵士が自宅の牛小屋でどのように彼女を強かんしたのか語ってくれた。多くの女性団体が、紛争によって多くの少女たちが性的搾取の目的で人身取引されており、ネパールにおいてすでに深刻な問題になっていると指摘している。
過去数年にわたり、毛沢東派は過疎地域で開かれた「政治教育」のため、何万人もの学徒たちを誘拐している。その多くは2~3日後に帰宅しているが、そうでない子どもたちもいる。武力紛争下で15歳以下の子どもの使用は戦争犯罪であるにも関わらず、毛沢東派は、子どもたちを軍事活動のために徴用し、強制労働に従事させていると考えられる。
教育施設は、特に攻撃の対象である。紛争の両当事者は、構内を軍事目的に使用し、毛沢東派は多くの学校を爆撃し子どもたちが負傷した。子どもたちの誘拐と破壊的な爆撃からなるこれらの攻撃は、多くのネパールの子どもたちが教育を受けるべき重要な時期を失ったことを意味している。
「子どもたちは自分たちの国を苦しめている暴力のサイクルに囚われている。彼らは誘拐され毛沢東派に徴用され、そして治安部隊の標的となり、拘禁や殺害の危機に曝されている」とプルナ・センは語った。「暴力と虐待の経験に加えて、紛争が教育、健康、そして教育、医療、開発に関するサービスを侵食し、何千という子どもたちが健康であり教育を受けるという権利を享受できていない」
アムネスティはネパール政府に対し、子どもの権利条約やその他の人権条約で謳われているように、子どもの権利を保護する責任を果たすよう要請する。また治安部隊で人権侵害に加担したものを公正に裁き、紛争に巻き込まれている子どもへの適切なサービスの提供を要請する。毛沢東派に対しては、子どもの誘拐と兵士としての徴用の中止、全ての子どもの解放、そして全ての無差別攻撃をやめるよう要請する。紛争の両当事者が子どもの権利を守るために、全ての可能な措置を取り、子どもたちの生命に対し紛争の影響を最小限に抑えることが重要である。
報告書全文(英語)は、下記のサイトでご覧になれます。
http://web.amnesty.org/library/index/engasa310542005
国際事務局によるオンライン・アクションはこちらから:
http://web.amnesty.org/pages/npl-260705-action-eng
アムネスティ発表国際ニュース
(2005年7月26日)
AI Index: ASA 31/062/2005
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