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中国:最高裁による死刑判決の再審理が再開?廃止へのステップか

2005年10月13日
国・地域:中国
トピック:死刑廃止
10月10日の死刑廃止デーに先立ち、アムネスティ・インターナショナルは中国に対し、できるだけ早期に死刑を廃止するため、死刑適用を減少させることを目的とした改革を促進するよう求める。

2005年9月27日、最高人民法院副院長の万鄂湘は、死刑判決の再審理を担当する3つの小法廷を設置すると発表した。この改革で死刑執行数が30パーセント減少するであろうと、ある高官が言ったと副院長は述べた。国内の法律改革派も同様の主張をしているが、死刑に関する完全な国内統計がないため(死刑に関する統計は今でも「国家機密」である)、この数字は少し過大評価であろう。

万鄂湘副院長は、下級裁判所では裁判に政治的介入があることをはっきりと認めた上で、「(この改革によって)死刑事件の裁判が行政機関から真に独立し、他の権力の介入が阻止されるであろう」と述べた。

最高人民法院が死刑判決の再審理を再開することによって死刑判決が本当に減少し、公正な裁判がより保障されるようになることを期待して、アムネスティはこの動きを歓迎する。しかし、最高人民法院が死刑事件の再審理を行なうことで、中国の裁判が必ずしも国際人権基準を満たすものとなるとは限らないことをアムネスティは指摘する。

たとえば、2003年12月、富裕な実業家の柳永が処刑された。自白させようとして警察が拷問した疑いがあるにもかかわらず、彼は汚職およびギャングの暴力事件で有罪判決を受け、最高人民法院はその判決を支持したのである。警察が拷問したとの申し立てを受けて、下級裁判所では彼の死刑判決を減軽したが、その後最高人民法院は、この申し立ては死刑執行を免除する根拠として十分ではないと判断した。柳永は裁判所の近くの移動処刑車の中で、致死注射によって処刑された。

さらに、最高人民法院が死刑事件の再審理を再開することで、逆に死刑制度がさらに確固としたものになる可能性があることをアムネスティは強調する。また、下級裁判所から人材を登用することで、下級審での裁判の質が落ちる危険性がある。真に死刑廃止へと向かうためには、全国的に死刑の適用を完全に透明化することや、死刑相当犯罪の数の削減などの措置も同時に講じられねばならない。

死刑の判決と執行数に関する全国統計は今も「国家機密」とされている。超法規的、即決および恣意的処刑に関する国連特別報告者は、報告書で次のように述べた。「このような秘密主義は、多くの意味で人権基準と相容れない。また、裁判の全過程で誤判や人権侵害を防止し、公平で適正な手続を保障するための多くの安全保障措置を台無しにするものである。」「秘密主義では、社会が死刑について情報を得た上で公開で議論することができない。」最高人民法院の再審理再開が、現在予測されている通り死刑の適用減少に実際につながるかどうかを判断するためには情報の透明化が不可欠であることをアムネスティは指摘する。

中国で死刑を適用できる犯罪の数は68ほどで、脱税、国有財産の横領、収賄などの非暴力犯罪も含まれている。死刑に反対する中国の法学者たちは、経済犯罪への死刑適用を廃止するなど死刑相当犯罪の削減を勧告しているが、この主張は今までのところ注目されていない。

ここ数ヶ月間に誤判事件があいついで報道されたため、裁判の不公正さについて中国国内で活発な公開の議論がおこなわれた。労働者の轟樹斌の事件もその一つである。轟樹斌は1995年に殺人と強姦の罪で処刑された。当時、彼が拷問されて自白したと報じられていたが、今年3月、別件で逮捕された人が轟樹斌が犯したとされる罪をすすんで自白し、犯罪現場を克明に描写した。

アムネスティは中国当局に対し、生命権を保障するために、死刑を法律で完全に廃止するまでの期間、執行を停止するよう求める。不公正な裁判で有罪判決を受けた無実の人びとを処刑しないためには、執行を停止することが最善の方法である。

中国は世界で最も死刑を多用している国である。アムネスティの推定では、昨年だけでも3000人を超える人びとが処刑され、6000人を超える人びとが死刑判決を受けた。実際の数字はさらにこれを上回るものと思われる。2004年3月には、全国人民代表大会の地方代表が、中国では毎年約1万人が処刑されていると述べた。

臓器移植この数年間の一連の報道によれば、中国では処刑された人の臓器が取り出され、移植のために売られているという。最近の例では、2005年9月13日に英国ガーディアン紙が報じたものがある。これによると、中国のある化粧品会社が、処刑された囚人の遺体から皮膚を採取し、海外販売用の美容品の製造に利用しているという。アムネスティはこの記事の内容を確認できなかったが、このような遺体利用の報道が続いていることを引き続き深く憂慮している。中国で移植に使われる臓器の90パーセントが、処刑された囚人から摘出されたものであるとの報道もある。

商業取引を基本にした人体臓器の入手、あるいは、自由意志にもとづく十分な説明受けた上での合意がない臓器の入手は、人間の臓器の確保と移植に関する世界保健機関のガイドラインに違反する。このような場合の臓器移植への外科医の関与は、国際的な移植学会および世界医師会の倫理規則に違反するものである。

アムネスティは中国に対し、このような行為を禁止するよう以前から求めてきた。
2005年6月、黄潔夫衛生相は、人体臓器取引を禁止し、自発的な提供および十分な説明を受けた上での自由意志による合意に関する原則を強化するための規制を行なう計画があると発表した。

アムネスティの知る限りでは、この規制は議題にはなっているが、正式には採択されていない。死刑が残虐で、非人道的かつ品位を傷つける刑罰であることを考えると、今まさに処刑されようとしている囚人が臓器提供について「自発的」に「十分な説明を受けた上での自由意志による合意」を行なうことができるような状況は、もしあるとしても、ごく少ないとアムネスティは考えている。

AI Index: ASA 17/035/2005
2005年10月5日

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