中国:香港紙創業者に有罪判決 報道の自由の終焉

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2025年12月17日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:中国
トピック:表現の自由

12月15日、香港紙「リンゴ日報」の創業者、黎智英(ジミー・ライ)さんが国家安全法違反で有罪判決を受けた。

予想通りの判決だったからといって、その衝撃が薄れるわけではない。ライさんの有罪判決は、ジャーナリズムの本質的な役割が犯罪扱いされてきた香港における報道の自由の終焉を告げる鐘のように感じられる。

黎さんが投獄されたのは、彼と彼が率いる「リンゴ日報」が政府を批判したためだ。彼が有罪とされた活動は、2020年の国家安全維持法(国案法)が施行される前には決して犯罪とは見なされなかった。

今回の判決は、香港のいわゆる「国家安全」に関する諸法が人びとを守るためではなく、沈黙させるために存在することを示す。また香港で事業を行うすべての人に対し「この都市で機会を追い求めることは、深刻な法的リスクを伴う」という警鐘でもある。

この判決は単なる一人の問題ではない。香港における表現の自由への組織的な弾圧の新たな段階なのだ。抗議活動や政党だけでなく、市民は権力に責任と透明性を求めることができる、求めるべきであるという理念そのものを標的にしている。

ライさんは、平和的に表現の自由を行使しただけで投獄されている。即時かつ無条件での釈放が求められる。彼や多くの市民を標的にしたこの法律は、中国本土と香港当局による弾圧を継続するための隠れ蓑に過ぎない。国際社会はこの本質を断固として非難すべきだ。

背景情報

香港高等法院(高裁)は12月15日、民主活動家のジミー・ライさんに対し、外国勢力との共謀罪2件および扇動の共謀罪1件の有罪判決を言い渡した。最悪、終身刑に処される可能性がある。

ライさんは2020年12月11日、中国主導で制定された国案法に基づく「外国または外部勢力との共謀」罪で起訴された。彼は2020年12月31日から拘束されている。その後、国安法に基づく「外国または外部勢力との共謀」罪でさらに2件、犯罪条例に基づく「扇動的な出版物の発行を共謀した」罪でさらに1件の起訴を受けた。

香港当局は、これらの起訴はライさんがオーナーの「リンゴ日報」に掲載された、外国に制裁を呼びかけた記事に関連していると説明した。当局はさらに、ライさんが米国政治家と会談したこと、海外メディアの取材に応じたこと、ツイッター(現X)への投稿内容、フォロワーに香港の民主化運動を支持する著名な外国政治家やNGOなどがいることを根拠として挙げた。

英国籍のライさんは、2021年2月に香港最高裁が国安法事件は「保釈の推定」(裁判所は保釈請求を原則認めるべき)の例外と裁定したため、保釈が認められなかった。香港政府はライさんの弁護士である英国人のティモシー・オーウェンさんの弁護活動も禁止した。

ジミー・ライさんは1995年、批判的な報道で知られる「リンゴ日報」を創刊した。2020年6月30日の国安法施行後ほどなくして、約200人の警察官が同紙本社を家宅捜索した。メディア施設が同法のもとで捜索されたのはこれが初めてで、ライさんは2人の息子と複数の幹部と共に逮捕された。

「リンゴ日報」は2021年6月、警察による再捜索と資産凍結を受けて廃刊となった。アムネスティは当時これを「報道の自由に対する露骨な攻撃」と非難した。

今回の判決に先立ち、香港の裁判所は「無許可集会」や詐欺に関する4件の別事案でライさんを有罪とし、合計7年以上の禁錮刑を言い渡していた。

昨年、アムネスティは、人権弁護士の鄒幸彤(チョウ・ハン・トン)さん、丁家喜(ディン・ジャシ)さんと共に、ライさんを良心の囚人として認定した。

※良心の囚人:アムネスティは、良心に基づく信念、信仰や人種、性的指向などを理由に、不当に拘束されている人たちを「良心の囚人」と認定し、釈放を求めて活動している。

アムネスティ国際ニュース
2025年12月15日

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