- 2025年9月18日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:中国
- トピック:性的指向と性自認
9月10日、香港立法会が同性パートナーシップ登録の新たな法的枠組みを提案した法案を否決した。香港当局は同性カップルが生活のあらゆる分野で直面する不平等に対処できなかった。提案された同性パートナーシップ法案には欠陥があったものの、これを否決した議員はLGBTIの権利を軽視する姿勢を示したことになる。
同法案は同性カップルに最低限の保護しか認めていなかった。海外でパートナーシップを登録したカップルのみを対象としていた点など、法案につながった2年前の裁判所の判決の意図を大きく下回る内容だった。
しかし同性カップルの権利におけるわずかな前進すら、立法会には受け入れがたいものだった。香港が真の平等を実現するまでの道のりは、まだ長い。
今回の件が、香港における同性カップルの権利を改善する努力の終わりであってはならない。むしろ、当局がより強力な法案を策定し、香港のLGBTIの人びとが平等と尊厳をもって生活できる環境を整えるためのきっかけとなるべきだ。
当局は今こそ、2年前の裁判所の判決に完全に沿って、同性カップルの権利を認め保護する包括的な法的枠組みを確立する改正法案を緊急に提出すべきだ。誰もが、ありのままの自分であること、あるいは誰を愛するかという理由で、差別されてはならない。
背景情報
香港立法会は9月10日、一部の同性パートナーシップを法的に認める枠組みを定める法案を否決した(賛成71、反対14、棄権1)。
この枠組みは香港国外でパートナーシップを登録したカップルにのみ適用され、医療上の意思決定と死後の手続きに関する限定的な権利のみを付与する内容だった。
本法案は、2023年9月5日の終審法院(最高裁)判決に基づくものだった。同判決は香港政府に対し同性関係を法的に認める枠組みの整備を命じ、同性婚が認められないのは香港基本法(憲法に相当)などに違反すると訴えていたLGBTI権利擁護活動家ジミー・シャムさんに部分的な勝利をもたらした。裁判所は政府に対し、2025年10月27日までに対応するよう期限を定めていた。
香港では、同性関係は法的に認められていない。近年、香港の裁判所は同性カップルに対する権利の否定が差別的であると認めてきたが、この問題への対応は遅々として進まない。判決により、海外で結婚またはシビル・パートナーシップを結んだ同性カップルには限定的な権利が認められている。例えば公務員の配偶者手当や税制上の配偶者待遇、公営住宅の入居資格、相手の遺産相続権などである。しかし包括的な枠組みは依然として存在しない。
立法会による「同性パートナーシップ登録法案」の採決を前に、国外に拠点を置くアムネスティ香港は、アジア全域のLGBTI権利団体と共に共同書簡を発表し、香港政府に対し、裁判所の判決に従い、同性パートナーシップを認める包括的な法的枠組みを制定するよう緊急に要請していた。
アムネスティ国際ニュース
2025年9月10日
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