- 2025年12月 2日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:中国
- トピック:表現の自由

香港・大埔区の火災で大勢の命が奪われた。アムネスティは悲劇的な死を遂げた住民、労働者、消防士の家族に心からの哀悼の意を表するとともに、負傷者の一日も早い回復を願う。
この火災に対し政府の説明責任を求める請願を立ち上げた香港人学生が逮捕された。今こそ香港当局は、正当な疑問を投げかける人びとを黙らせるのではなく、大埔で起きた壊滅的な火災の原因を、透明性をもって調査すべき時だ。
悲しみに沈む中でも、被災家族への正義の実現と悲劇の再発防止に、可能な限り取り組む必要がある。アムネスティは香港当局に対し、透明性のある公平な独立調査を徹底して行い、悲劇の全容を解明し火災原因を公に明らかにするとともに、関係者の責任を追及し、調査結果をすみやかに公表するよう強く求める。
この広範な調査では、個人や政府職員による規制上の怠慢や過失が悲劇の一因となったかどうかを、政府は包括的かつ透明性をもって評価しなければならない。本件に関連する制度的・政策的な欠陥を検証する徹底的な報告書を作成することが不可欠である。
香港市民がこうした真相解明・責任追及を求めることは権利であると同時に務めでもある。しかし香港当局はこれを認めるどころか、懸念や要求を表明する者たちの声を封じる道を選んだ。
表現の自由と平和的集会の自由は、国際法および香港法によって保護される人権である。香港当局は、広範に定義された「国家安全」に関する諸法を悪用し、地域主導の支援活動に従事する者や公益のために情報を開示・報告しようとする者を含むあらゆる人びとを標的にすることをやめなければならない。
健全な社会は単一の声だけで成り立つべきではない。当局はすべての調査や災害救援活動が透明かつ参加型で実施されることを保証すべきだ。草の根ボランティアの取り組みを支援し、香港市民の意見とニーズを十分に考慮しなければならない。
背景情報
香港大埔区の「旺福苑」火災は11月26日に発生し、少なくとも146人の命を奪った。
11月29日、説明責任を求める請願を開始した個人が、地元メディア報道によれば国家安全当局により「扇動」の疑いで逮捕された。火災後政府に「4大要求」を突き付けたこの大学生は、12月1日に保釈されたと報じられている。
地元メディアは、火災に関連して「扇動」の容疑で別の2名が11月30日に逮捕されたと報じている。
アムネスティ国際ニュース
2025年12月1日
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