- 2005年10月25日
- 国・地域:モロッコ/西サハラ
- トピック:難民と移民
アムネスティは、このような強制送還が国際難民法・人権法の基本的な保護基準に違反するものであると考え、国境付近に残されたそれらの人々の生命と安全を危惧する。
スペイン領飛び地のセウタやメリリャから移民を一掃しようとする政府の取組みの一環として、合計で何百人ものサハラ以南出身の人々が最近モロッコ当局によって取り押さえられている。スペイン領に入ろうと試みた移民の一部は命を落とし、負傷した者もいる。サハラ以南出身の移民の多くはバスで遠くまで連れて行かれ、ほとんど、またはまったく食料や水を与えられずに、モロッコとアルジェリア、モーリタニアとの国境沿いの砂漠地域に置き去りにされたと報告されている。その結果、そのうち何人かは死亡したとの報告がある。アムネスティが入手した目撃者の情報によると、アルジェリアとの国境付近に残されたグループの内10人もの人々が、明らかにその時受けた処遇の結果として死亡した。
また、約80人は負傷者を含む何百人もの移民が留置されているゲルミム市に軍用トラックでモロッコ軍により連行途中で、スマラ付近の地雷敷設域に置き去りにされたと報告された。
「食料・水・医療へのアクセスは、国籍や滞在国における滞在の合法性にかかわらず、全ての人に常に保障されるべき基本的権利である」「食料や水へのアクセスを保障しないまま人々を砂漠地域へ追いやることは、深刻な基本的人権の侵害である」とアムネスティは述べた。政府が国境を管理し、その国の領域への市民でない者の入国を制限する権利があることを認めるが、モロッコ政府はその領域内にいる非正規移民を含む全ての人々の基本的人権を保護する国際法上の義務を負っている。また、出身国において深刻な人権侵害の危険にさらされる人を強制送還しない義務、そしてその人権侵害を証明するための公正かつ満足な手続を完全に保証する義務もモロッコ政府は負っている。国際的保護の必要性を判断する前に人びとを集団で強制退去させることは、国際難民・人権法の原則に違反する。
国際的保護が必要ではないとされた人びとの強制送還は、非正規な滞在状態を継続させないとする観点から、十分な食料・水・医療・人道的処遇の保障を含む、秩序だった、安全で、尊厳を尊重した方法で行なわれなければならないと考える。国連人権委員会は、強制退去される外国人の、送還先の国との合意を前提とした出国先を選ぶ権利を認めている。移民がその違法状態を合法化できないまま、あちこちの国に送還されたり戻されたりすることがないようあらゆる措置が採られるべきである。
アムネスティは10月11日にも、以下の内容のプレスリリースを発表した。「EU領土に入国しようと試みる人々が射殺されたり、食料や水も与えられずに砂漠に置き去りにされていると伝えられている現在の北アフリカの悲惨な状況は、EU要塞を強固にしようとするEU諸国からのプレッシャーと直接的に関係している。」・・・「恥ずかしくもEU加盟国は、難民保護に関する負担を、ますます増えつつある難民に対応するだけの十分な用意ができていない国々になすりつけている。その中で、人道的な処遇やノン・ルフルマンの原則に対する国際的な合意が破られつつある。」
アムネスティ発表国際ニュース
(2005年10月14日)
AI Index: MDE 29/007/2005
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