モロッコ/西サハラ:労働者の権利を求める教員への起訴を取り下げよ

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2021年5月24日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:モロッコ/西サハラ
トピック:

(C) Jalal Morchidi/Anadolu Agency via Getty Images
(C) Jalal Morchidi/Anadolu Agency via Getty Images

モロッコの首都ラバトでは、2019年から教員が正規採用と労働条件の改善を求めて声を上げる中、拘束されたり時には収監されたりする事態が起きている。この4月6日と7日のバブ・エル・ハド広場での抗議では、多数の教員が拘束され、33人が起訴された。教員は当然の権利を求めていただけであり、当局は、33人の起訴を直ちに取り下げるべきだ。裁判は、5月20日から始まる。

新型コロナウイルス対策として医療緊急事態法が導入されているため、教員たちは、マスクを着用し、互いの距離をとるなどの感染対策を取りながら、平和的に労働条件の改善を求めていた。しかし、強制的に解散させられ、逮捕された33人は、複数の容疑で起訴され、46時間後に保釈された。容疑には、医療緊急事態法違反、無許可の集会への参加、警官への悪意と侮辱などがある。

弁護人によると、取り調べを受けた教員たちは、自分たちに不利な供述調書が作成され、1人は無理矢理、署名をさせられたという。

参加者は抗議中、顔を殴られたり、手足をつかまれたり、警察署まで引きずられたりするなどの品位を貶める扱いを受けていることもあった。

アムネスティが聞き取りをした供述調書への署名を強要されたという1人を含む3人のデモ参加者は、拘束時や留置中に警官からひどい扱いを受けたと話した。

モロッコ南部の都市アガディールから来た女性教員は、4月6日に拘束された。教員は、警官らに手足や頭を捕まれて仲間から強引に引きずり出された。アムネスティが検証したビデオが、その様子を捉えていた。アムネスティが入手した写真でも、その女性の両腕に複数のあざがはっきり残っていることがわかる。

女性は、5時間の取り調べ中、女性警官に服を脱がされ、起立と着席を繰り返させられるという屈辱を強いられた。デモでの役割や警官に対する発言内容についても質された。3月17日の抗議活動中に、その警官から性的嫌がらせを受け、「強かんするぞ」と脅されたという。この取り調べの結果、「公務員の感情を害した」として起訴された。

1人の男性教員は4月6日に一度解放されてから再度拘束され、他の教師らとともに48時間、留置された。

教員の話では、警官は、マスク着用などの感染対策をまったく取っていなかった。一方、逮捕された教員たちは、狭い留置所に48時間拘束され、互いの距離を取ることも、マスクを着けることもできなかった。そんな中、聞き取りをした2人の教員の容疑は、医療緊急事態法違反だった。

警察は、集会の自由の権利を尊重し、平和的な抗議デモを認め、過剰な力の行使や恣意的拘束を直ちにやめ、起訴を取り消すべきた。教師たちは、労働条件の改善や正規雇用を求めているだけである。

当局は、抗議する教員を恣意的に摘発するための隠れ蓑に、新型コロナウイルス対策を利用してはならない。モロッコ当局は、平和的に権利を求める人たちの罪を問うのではなく、彼らの表現の自由と集会の権利を保護するという国際義務を尊重すべきだ。

追加情報

昨年4月、教員をする息子とともに運動に参加していた父親が、暴行を受け、亡くなった。今年3月半ばには、抗議に参加していた少なくとも3人の教員が、一時拘束された。4月上旬、1人の教員が投稿した抗議のメッセージを拡散させた別の教員が、実刑1カ月の判決を受けた。

アムネスティ国際ニュース
2021年5月19日

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