- 2021年8月 6日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:モロッコ/西サハラ
- トピック:
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モロッコ当局は、中国国籍のウイグル人イドリス・ハサンさん(34歳)を拘束され暴力を受けるおそれがある中国に送還してはならない。
イドリスさんは1週間ほど前、トルコから空路でモロッコに入国した際に拘束され、留置されている。7月23日、妻のザイヌラさんに「近いうちに中国へ送還されそうだ」と電話してきた。
ザイヌラさんはアムネスティに、夫は中国の要請を受けて拘束されたとして、「お願い、急いでほしい。今、何とかしないと中国に送り返されてしまう」と訴えた。
コンピューターデザイナーで3人の子どもがいるイドリスさんは、中国の国籍とトルコの在留許可証を持っている。電話があった以降、連絡が取れず、もし中国に送還されれば、当局に拘束され、拷問を受けるおそれがある。
モロッコ当局は、イドリスさんの身の安全を確保するために、すぐにでも弁護士と面会できるようにし、いかなる退去命令に対しても異議を申し立てられるようにするとともに、家族と直接連絡がとれるようにしなければならない。
ウイグル人をはじめとする少数民族が、大規模に強制収容され、迫害や暴力にさらされている中国への送還は、国際法に違反する。
国際法上のノン・ルフ―ルマン原則は、送還されれば拷問や残虐で非人間的な扱いを受けるおそれがある国への送還を禁じている。
背景情報
イドリスさんは、2012年から家族4人とトルコで暮らしてきた。家族は、トルコの永久在留許可を持つが、イドリスさんの在留許可は「人道目的」となっている。
中国は、ウイグル人組織のために以前取った行為により、イドリスさんをテロリストとみなしたといわれている。中国の法律は、「テロ」や「過激主義」を過度に広義で曖昧に定義しており、ウイグル人などの民族弾圧に利用されてきた。
アムネスティは、6月に公表した調査報告書の中で、新疆ウイグル自治区のイスラム教徒の市民数十万人が、中国当局に恣意的に拘束、暴力、教化などにさらされていることを明らかにしている。
拘束されたことがある人たちへの聞き取りで、2017年以降、テロ対策を名目に、ウイグル人、カザフスタン人、キルギス人、ウズベク人、タジク人ら大多数がイスラム教徒の民族の信仰や伝統、文化、言語などを根こそぎ奪い取ろうとしてきたことがわかっている。
アムネスティは今、強制収容施設に拘束されているとみられる60人以上の事例を示しながら、施設の閉鎖を求めるキャンペーンを実施している。
アムネスティ国際ニュース
2021年7月27日
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