コンゴ民主共和国:政府は市民を保護する責任を果たすべき

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2006年2月16日
国・地域:コンゴ民主共和国
トピック:危機にある個人
コンゴ民主共和国のカタンガと北キヴ州における深刻な人権侵害は、同地域の武装反乱グループの指導者にも責任があるが、これらの地域の市民を保護できない責任もコンゴ民主共和国政府にある、とアムネスティ・インターナショナルは本日、発表した。

「今なお続いている東部での不安定な状況と市民の生命が不必要に危険にさらされている現状は、政府が真に統合された専門的な軍隊を組織できなかったことによるところが大きい」とアムネスティ・アフリカプログラム部長、コラウォレ・オラニヤンは述べた。

カタンガと北キヴ両州で一般市民は、反乱軍の攻撃から十分な保護を政府より受けておらず、武装勢力と政府軍両方の直接の標的となることが多い。両州における軍事行動は人道機関の支援活動を妨げ、直接的な暴力または予防可能な疾病や飢餓で何千という人びとが死亡している。

カタンガ州では、マイマイ民兵組織と政府軍の衝突により10万人以上が避難民となった。暴徒は村を攻撃し、一般市民を強かんし殺害し、家屋を焼き払い、略奪した。マイマイ民兵組織との戦闘では、政府軍も強かん、略奪、その他の人権侵害の責任がある。

北キヴ州ルッシュル地区ではローラン・ンクンダ司令官が反乱を起こし、彼の指揮により政府軍と兵士間が衝突し、少なくとも37,000人が避難民となった。一連の戦闘における人権侵害は、あらゆる軍関係者にその責任がある。

「東部の市民は、政府による保護を期待している」とコラウォレ・オラニヤンは続けた。「しかし多くの場合、政府軍は反乱軍よりも少しましなだけだ。」

「反乱軍でも国際人道法を遵守しなければいけないし、違反した場合は裁きを受けねばならない。」「しかし、そのためには、政府が政府軍の専門化に必要な資源の投入や政治的意思を結集させ、国際人権・人道法を遵守するようにし、弱い立場にある人びとの人道援助団体へのアクセスを可能にし、常に一般市民を保護できるよう行動すべきである」とコラウォレ・オラニヤンは述べた。

政府軍の統合と改革が進行しているにもかかわらず、政府軍に専門意識を持たせる努力はほとんどなされていない。重大な人権侵害を犯した疑いのある人びとが除隊されていない。国際法上の義務である適切な訓練を軍は受けていない。新たに統合された部隊でさえも不十分な装備、給料、衣類そして食料しか与えられていない。指示系統はよく混乱する。

政府は最近、軍の給与と食糧供給システムを見直す欧州連合(EU)の計画を認可した。「この計画を歓迎する。」「しかし、統合された部隊の規律、訓練、責務に関連する基本的課題は優先事項として取り組まれる必要がある」とコラウォレ・オラニヤンは述べた。

北キヴとカタンガ両州は歴史的に難しい関係にある民族が混在しており、主に民族を基盤とした政治的武装集団の支配が入り組む中に居住している。一部のコミュニティは、その指導者の誘導もあるが、軍の統合プロセスに関し依然として非常に疑い深い反応を示すところもある。これは地元の武装グループからの保護が受けられなくなるのではないかという不安があるためである。

政治や軍の指導者の一部は、政府軍に統合するため軍隊の構造を解体することに積極的ではない。これはその構造が権力基盤だからである。

「コンゴ民主共和国の多様なコミュニティには、統合軍は公平な軍となることを十分理解させる必要がある。このために、人権侵害を犯した疑いのある人びとは除隊させ、裁きを受けなければならない。民族、コミュニティ、政治的な所属にかかわらず、あらゆる市民を保護する行動を軍隊は取ることができることを示さなければならない」とコラウォレ・オラニヤンは言った。

「暴力がエスカレートする危険のある地域は増強し、必要としている人びとの人道支援へのアクセスを保証する」ために、国連コンゴ監視団(MONUC)-コンゴ民主共和国に駐留する国連の平和維持軍-がその使命を確実に遂行するようアムネスティは要請した。

北キヴの危機に関する情報は:2005年9月のアムネスティ報告書"北キブ:政治的・軍事的対立の代償は市民に"
http://web.amnesty.org/library/index/engafr620132005

カタンガの情報は、国境なき医師団(MSF)の2006年2月の報告(コンゴ民主共和国カタンガにおける強制退去とコレラ(www.msf.org.) を参照のこと。

アムネスティ発表国際ニュース
(2006年2月8日)
AI Index: AFR 62/003/2006

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