大韓民国:米軍基地のために高齢農民を強制立ち退き

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2006年3月24日
国・地域:大韓民国
トピック:強制立ち退き
人権活動家数名が、警察による、韓国の北西部、平澤(ピョンテク)における高齢農民の強制退去に抗議した結果、拘束されている。

農民たちの村は、隣接する米軍基地、キャンプ・ハンプレイズの拡大に同意した退去命令に従わされている。

テジュリ村の住民のほとんどが60代から70代の農民で、彼らは、最近3月15日に行なわれた強制退去の企てと、それに先立つ3月6日の企てにも抵抗したが、押し倒され、鼻血を出した。提示された補償額では、他に代替地を買うにも不十分で生計も危うくなると彼らは言っている。

「農民のほとんどが非常に高齢で、彼らに対する権力行使について聞くと、心が痛む」とアムネスティ・インターナショナルのラジーブ・ナラヤン東アジア調査員は 語った。「彼らの年齢を考え、負傷しないよう、またそうした場合には直ちに医療措置が取られるよう、警察は特別な注意を払うべきだが、現在のところそうした様子はない。」

抗議活動で3月15日に逮捕された数人の中には、著名な人権活動家で「サランバン」人権グループのパク・レグンさんとカトリック人権委員会のチョ・ペッキさん が含まれている。パクさんは村の学校の前に座っているところを逮捕され、チョさんは 立ち退きに用いられていたフォークリフト・トラックを阻止しようとして逮捕された。両名共に公務執行妨害で起訴され、地方の警察署にいまだ拘束されている。

「政府は、こうした強制退去に対する平和的な抗議活動のために拘束されているすべての人びとを釈放すべきだ」とナラヤン氏は語った。立ち退きに抗議している人たちによれば、立ち退き前に行なわれた協議は、農民の関心事を考慮せず、見せかけのためだけに行なわれたようだった。退去命令要請に着手した国防部は、退去期限の決定を一方的に行い、住民の必要性に耳を傾ける用意はなかった、と抗議者たちは不満を述べた。

「現状のままの立ち退きでは、農民は、生計を立てる機会もほとんどない極端に弱い立場におかれることになる」とナラヤン氏は語った。「私たちは、政府に新たな 協議を要請する。政府は、村民がホームレスにならないよう、妥当な補償をし、新しい住まいに近い代替用地を与える保証をすべきだ。」

強制退去の間に警察による少なくとも50件の権力乱用があったとの報告があったが、1,000人以上のテジュリ村の住民立ち退きに何人の警察隊が配備されたかは明らかになっていない。高齢の村民が地面に押し付けられ負傷した時、抗議活動をしていた 人々が救急車を要請したが、警察はその要請を無視した。

〈背景情報〉
2004年12月、韓国政府は京畿道にある米軍基地キャンプ・ハンプレイズにさら に2,851エーカーの提供を計画した。2005年12月、政府の土地買収委員会はテジュリ村の「緊急土地取得」を認めたが、これは、農民が自らの土地に居住するのを違法としてしまうものであった。国防部が主導した協議の後、テジュリの住民は、土地価値を低く見積もって査定され た補償でわずかな金額を提供された。同地域は浅瀬の開拓地で、他の農地と比較する と土地価格はもともと低かった。提供されたわずかな金額で実質的に農業の出来る適切な土地を取得するのはほぼ不可能であろう。

2006年2月、農民の強制立ち退きに抗議する全国キャンペーンが始まった。
さらに情報を欲しい方は
http://amnesty-news.c.topica.com/maaeBLcabo8Trbb0hbJb/
をご覧ください。

アムネスティ発表国際ニュース
(2006年3月17日)
AI Index: ASA 25/001/2006

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