- 2022年8月31日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:大韓民国
- トピック:
宗教や信条に基づき兵役を拒否した良心的兵役拒否者が、懲罰的な代替役務を拒否しても罪に問われることがあってはならない。
宗教的信念に基づき兵役を拒否したキム・ヘミンさんは、代替役務も拒絶した。代替役務制度は、兵役拒否者に刑務所などの矯正施設で通常の兵役期間の2倍の3年間の役務を義務付けている。これは、兵役に代わる役務ではなく事実上の懲罰である。3年は、代替役務としては世界的にみて最も長い。
国際法の下では、義務として兵役を課す国は、一般社会での同等期間の代替役務を提供する義務がある。
キムさんは2020年に導入された同制度を初めて拒否したとされる人物だ。そのキムさんの裁判が8月22日に始まった。
キムさんは、正当な理由がない入隊拒否者を投獄する兵役法違反で起訴された。キムさんは、自身の兵役拒否は兵役法の「正当な理由」に基づくものであり、また、代替役務制度は極めて懲罰的な側面を持ち、国際基準を満たしていないと考えている。
国は、兵役拒否の権利を求め、不当な代替役務を拒否したキムさんの起訴を即刻取り下げるべきだ。また、良心的兵役拒否を罪に問うのではなく、代替役務を見直すことで代替役務に就いて処罰的扱い受けたり汚名を着せられたりすることがないようにすべきだ。
背景情報
韓国では過去60年以上にわたり毎年、信条から兵役を拒否した数百人の若者が、社会奉仕の意思があるにもかかわらず、有罪判決を受け収監されてきた。通常、良心的兵役拒否者は1年半収監され、前科者の烙印を押され、長期にわたり経済的・社会的不利益を被る。
2018年、最高裁と憲法裁判所は、兵役拒否の権利を認める画期的な裁定を下した。さらに憲法裁判所は、2019年末までに一般社会での代替役務の導入を国に求める判決を言い渡した。
2019年12月に改正された兵役法では、良心的兵役拒否者は軍管理下での長期の代替役務を義務付けられた。依然として良心的兵役拒否者に不合理で過剰な役務を課し、思想、良心、信仰の自由を侵害する状況が続いている。
兵役拒否者は2020年6月30日から代替役務の申請が可能になった。その年の10月には、最初の一団が刑務所などの矯正施設での3年間の代替役務を始めた。
国際人権法、国際人権基準は、兵役義務がある国に民間の代替役務を提供することを義務づけている。役務期間は兵役と同期間とし、もし延長するなら、合理的、客観的基準に基づかなければならないとしている。また、良心的兵役拒否者と認めるか否かの手続きと認可後の役務は、いずれも文民の管理下に置く必要がある。
アムネスティ国際ニュース
2022年8月22日
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