大韓民国:元「慰安婦」裁判 残された最後の正義

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2020年8月17日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:大韓民国
トピック:女性の権利

(C) Getty Images
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韓国では8月14日、「日本軍慰安婦被害者をたたえる日」を迎えた。日本軍「慰安婦」被害者とは、第二次世界大戦前と大戦中に旧日本軍に性奴隷として働かされた女性や少女たちだ。

旧日本軍による残忍な犯罪から70年以上が経つが、正義、真実、賠償を求める被害女性たちの闘いは、今も続いている。

「慰安婦」被害者ら20人が2016年、日本政府に対し損害賠償を求めて集団訴訟をソウル中央地方裁判所に起こし、その第一回口頭弁論が昨年11月にあった。アムネスティも意見書を提出した。2016年には、別の12人も裁判を起こしている。

日本政府は、「慰安婦」問題は2015年に韓国政府との間で「最終的かつ不可逆的」に解決し合意したと主張する。

一方、訴訟を起こした被害者たちは、日本は国際人権法違反であることも法的責任も認めていないとして、2国間合意に強く反発してきた。日本政府が協議の中で全面的な謝罪を示さなかったことや、被害者が協議の場に参加できなかったことも問題視されている。

今回の裁判は、正義を求める被害者たちに残された最後の手段だ。しかし、日本政府が主張する「国家免除」(国家は他国の裁判権に従うことを免除されるという慣習国際法上の原則)の壁を乗り越えない限り、被害女性たちへの正義は、実現しそうにない。

人道に対する罪と戦争犯罪に対しては、日本政府は国家免除を盾にすることなく、被害者への十分な賠償と真の救済を受ける権利を尊重し実現すべきだ。

訴訟の結果は、世界の国際法違反の犯罪の被害者に影響を及ぼす可能性がある。ソウル中央地裁での一連の審理で、「慰安婦」制度に対する日本の法的責任が明らかにされ、被害者たちへの正義が果たされれば、判決は極めて大きな意味を持つ。

背景情報

先の大戦で旧日本軍に売春宿で働くことを強要された女性や少女は、20万人近くにのぼるとされ、その多くが韓国人だった。

旧日本軍による性奴隷制度の中で女性たちは、殴打され、強かんされ、拷問を受けた。殺された人もいたし、自ら命を絶った女性も多かった。生き残った女性は長年、心身の病、孤独、羞恥心、極度の貧困などに苦しんできた。

過去30年あまりで、韓国、台湾、フィリピン、中国、オランダの被害者が日本政府を相手取って計10件の訴訟を日本の裁判所に起こしたが、いずれも敗訴している。

アムネスティは2005年、自国民が被害に遭っている国は、被害者が自国の裁判所で日本政府を訴えることができるように法整備すべきだと主張した。またこうした法律制定にあたっては、国際人権法と国際人道法の違反行為に対する国家免除を禁止するよう求めた。

アムネスティ国際ニュース
2020年8月12日

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