ネパール:人権が重要-危機的岐路に立つネパール政治

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2006年3月27日
国・地域:ネパール
トピック:危機にある個人
「ネパールが政治上危機的な岐路を無事に乗り切るには、紛争当事者である両政党は人権の義務を遵守すべきである」と、アムネスティ・インターナショナルは3月20日から23日の調査を終え、本日の記者会見で発表した。

「一般の人びとは、紛争の長期化により日々甚大な損害を被っている」とアジア太平洋部長のプルナ・センは語った。「特に女性はこの紛争の見えざる犠牲者であり、保護や司法へのアクセスに制限がある」と語った。

アムネスティ調査団はネパール共産党(CPN:マオイスト)の2人の指導者に会い、主要7政党共同の合意書面にある人権を尊重する取組みや、市民の保護を基本とする具体的な行動への移行、国際人道法を尊重といった公的に約束するよう要請した。CPN(マオイスト)による拉致や子どもの勧徴兵、マオイスト幹部による脅迫・強奪・暴力から逃れるため多くの人びとが故郷を離れざるを得ないことにアムネスティは強い懸念を表明した。

「国際的な圧力は治安部隊による最悪の暴力を抑制する一助となっているが、人権侵害に対する免責という根本的な問題は未解決である」とアムネスティUKのケイト・アレン代表は語った。「治安部隊が関係する新たな<失踪>の報告数も、昨年来減少しているが、何百ものケースが未解決のまま、犠牲者の家族や友人を今も苦しめ続けている。」

「<失踪>者の家族は、彼らが再三に渡り要求している 失踪者のその後の情報について、早急に知る権利がある。何よりも、正義を受ける権利がある」とケイト・アレンは語った。

人権侵害で起訴されている治安部隊員は、公正とは言えない、抑止効果にもならない比較的軽い判決を受けている。

今年初頭の新政府による弾圧再開後、2ヶ月以上拘留されたままの9つの政党と市民社会活動家の早急な無条件釈放をアムネスティは要求している。アムネスティ調査団はカトマンズのマハラジュグンにあるラニバリ武装警察部隊の第2兵舎に監禁されている、民主平和市民活動(CMDP)の指導者でアムネスティ・ネパール前理事長の良心の囚人クリシュナ・パハディと、教養誌の週刊Mulyankan編集者でありCMDP活動家のシャム・シュレスタを訪問した。良心の囚人としてほかには、CMDPの指導者マスラ・プラサド・シュレスタ医師、デヴェンドラ・ラジ・パンデイ医師、マダブ・クマール・ネパール(ネパール共産党の指導者(統一マルクス・レーニン主義(UML)の書記長))、ラム・チャンドラ・ポウデル(ネパール会議派書記長)、ナラ・ハリ・アチャルヤ(ネパール会議派、中央協議会メンバー)、マハデヴ・グルング(ネパール会議派)、ヒリダヤシュ・トリパティ(ネパール・サドバーバナ党、アナンダ・デビ派)などがいる。

UML指導者で自宅軟禁中のマダブ・クマール・ネパールの家が昨日襲撃されたこともアムネスティは批判している。10人前後の武装警察隊が家を捜索し、電話、コンピューター、ファックス、その他の通信機器を押収したという。

「政府は、市民権と政治的権利を回復させるという、再三に渡る国際社会の要求を聞き入れるべきだ。」とアムネスティ・デンマークのラルス・ノーマン・ヨールゲンセン代表は言う。「集団逮捕が繰り返されてはならない。そして来月予定されている政治抗議の集会の自由も制限されてはならない。」

「政府とCPN(マオイスト)両者が人権の義務を遵守するためには、外からの圧力や支援が不可欠だ」と彼は付け加えた。

「結局、ネパールの人びとの人権を守る適切で効果的な唯一の方法は、敵意を終息させることである」とプルナ・センは述べた。「長期紛争は非常に大きな犠牲を強要し、家族の生活をばらばらにし、生計や健康、教育、人権へのアクセスにかなりの制限をもたらした。」

背景
アムネスティ・インターナショナルの調査団には、アジア太平洋部長のプルナ・セン、アムネスティ・UK代表のケイト・アレン、アムネスティ・デンマーク代表のラルス・ノーマン・ヨールゲンセン、南アジア調査員のカヴィタ・メノンが参加した。調査団は王立ネパール軍(RNA)、CPN(マオイスト)、両政党の紛争による人権侵害の犠牲者、弁護士や女性の人権活動家などの人権擁護活動家、外交官、国連人権高等弁務官事務所の各代表と面会した。

代表団の調査は、カトマンズとネパールグンジでのインタビューなど3日間に及ぶ調査と過去数年間のアムネスティの調査活動が基盤となっている。

アムネスティ国際ニュース
(2006年3月23日)
ASA31/012/2006

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