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米国:政府が拷問の環境をつくりだしている

2006年5月18日
国・地域:米国
トピック:「テロとの闘い」における人権侵害
アムネスティ・インターナショナルは本日報告書を発表し、米国および世界中にある米国の拘禁施設内で、被拘禁者が受けている拷問、その他の残虐で非人道的または品位を傷つける取り扱いについて、懸念を表明した。

アムネスティの報告書はすでに国連拷問禁止委員会に送られているが、同委員会は、ジュネーブにおいて5月5日および8日に、米国が拷問等禁止条約を遵守しているかどうかを審査する。拷問等禁止条約は、あらゆる状況下での拷問を禁止し、拷問を防止するために適切な立法その他の対策を講じ、拷問の加害者に適切な処罰を与えるよう各国に要請している。

報道によると、米国は30人強の代表団を、自国の立場を弁明するためにジュネーブに派遣する予定である。米国が同委員会に送った報告書では、戦争や非常事態を含むいかなる状況下においても、米国は拷問に明確に反対すると主張している。

「米国政府は、拷問と虐待を非難する声明を出し続けているが、それらの声明は実際に起きていることと矛盾している。」米国アムネスティのクルト・ゲーリング事務局次長は語った。「米国政府は拷問根絶にむけた方策を講じていないだけでなく、虐待の定義を狭めたりすることで、拷問とその他の虐待が広く行なわれる環境をつくりだしている」

アムネスティは、「テロとの戦い」の文脈の中で広範に行われている米軍の拘禁施設内での拷問や虐待に対する米国政府の対策がいかに不十分かを、その報告書の中で明らかにしている。これは、拷問の多くが政府の政策や運用から直接生じているという証拠にもかかわらず、である。

報告書は、アフガニスタンやイラクにおける米国の拘禁施設に収容された人びとが拷問のすえ死亡したケースをいくつか検証している。「拷問」または「戦争犯罪」の罪で起訴された米当局関係者は、今日まで一人もいない。

「現時点で、米国に身柄を拘束された被拘禁者が拷問による死亡事件に科された最も重い刑は、5か月の拘禁刑である。これは米国内で自転車を盗んだ時に科されるかもしれない量刑と同じだ。拷問死の事件の場合、5か月の拘禁刑は、22歳のタクシー運転手への暴行に対して科されたもので、このタクシー運転手は頭巾を被せられ、天井に鎖でつながれ、死ぬまで蹴られたり殴られたりした」とクルト・ゲーリングは語った。

「米国政府は、米国に身柄を拘束された被拘禁者に対する虐待は、一部の『組織から浮いた』兵士たちによるものだと主張し続けているが、これを覆す明らかな証拠がある。拷問と虐待のほとんどは、ドナルド・ラムズフェルド米国防長官に承認された尋問方法を含む、正式に認められた手続きと政策に直接の原因がある」と、アムネスティのアメリカ部長であるハビエル・ツニガは述べた。

また報告書は、警察による虐待と過剰な武力の行使、電気ショックをあたえる武器の残酷な使い方、「最厳戒」刑務所での非人道的で品位を傷つける隔離拘禁、刑務所における女性への虐待など、米国内法下における拷問等禁止条約違反に関する懸念についても列挙している。

米国が最後に拷問禁止委員会に審査されたのは、2000年5月だった。電気ショックを与える武器の利用や「最厳戒」刑務所での過剰に過酷な環境など、6年前に同委員会が非難した行為は、在外米軍が利用するために輸出され、「テロとの戦い」の文脈において米国が身柄を拘束した人びとを取り扱う際のモデルとなった。

「米国は長い間、国際基準に対し選択的な態度を取ってきたが、ここ数年は国際条約における米国の義務を無視するという、前例のない状況に達している。このような態度は、拷問およびその他の残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取り扱いや刑罰に関する合意をはじめ、国際人権法の枠組みを台無しにしかねない」と、ハビエル・ツニガは語った。

アムネスティは米国に対し、拷問の定義の範囲を制限するために同国がおこなった第一条の解釈をふくめ、拷問等禁止条約への留保をとりさげ、拷問の根絶に向けてその責任を果たすよう要請した。

またアムネスティは、米国の下では、大統領を含むいかなる者も、いかなる状況であれ、被拘禁者に対する拷問や虐待を命ずる権利や権限がなく、そのような命令を下したものは、それが大統領であろうと罪を犯したことになる、という2点を、米国政府が拷問禁止委員会に対して明確に示すよう要請した。

背景
拷問禁止委員会は、拷問等禁止条約に基づいて設置された、独立した専門家10人からなる機関であり、条約上の義務を遵守しているかどうかを監視する。拷問禁止委員会は年に2回招集され、各国から定期的に提出される報告書を評価するなどの作業を行う。2006年5月1日から19日までおこなわれる第36回委員会では、グルジア共和国、グアテマラ、韓国、カタール、ペルー、トーゴと米国から提出された報告書を検討する予定である。アムネスティはグルジア共和国、グアテマラ、カタールおよび米国についての説明資料を同委員会に提供した。

人権委員会は、市民的および政治的権利に関する国際規約を各国が遵守しているかどうか監視している。7月の第87回委員会では、米国が提出した第2、第3報告書が検討されることになっている。

拷問等禁止条約は、計141か国が批准している。

報告書の全文をご覧になるには、
http://web.amnesty.org/library/index/engamr510612006
をクリックしてください。

現在アムネスティでは、「テロとの戦い」の名のもとおこなわれている拷問および虐待を止めさせるキャンペーンを実施しています。詳しい情報は、キャンペーンサイト
http://web.amnesty.org/pages/stoptorture-index-eng
をご覧ください。


アムネスティ国際ニュース
(2006年5月3日)
AI Index: AMR51/070/2006

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