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米国:人権のスキャンダル--ハムダンの人身保護請求が棄却される

2006年12月20日
国・地域:米国
トピック:「テロとの闘い」における人権侵害
アムネスティ・インターナショナルは、特別軍事法廷設置法に基づいてグアンタナモ被収容者のサリム・アフメド・ハムダンの人身保護請求を却下した連邦裁判所の昨日の決定を憂慮する。

同法は、ブッシュ大統領が10月17日に署名したもので、人身保護請求に対する連邦裁判所の管轄権を奪うものである。

収容の合法性に異議を申し立てようとするすべての被拘禁者の権利は、国際法上の最も基本的な原則の1つである。いかなる立法府、あるいはどこのいかなる判事であれ、恣意的な拘禁や秘密裏の拘束、拷問、その他の虐待に対する基本的な保護の剥奪などを容認したという事実は衝撃であり、異議が申し立てられなければならない。

2001年11月にアフガニスタンで拘束されたイエメン国籍のサリム・ハムダンは、5年間、米当局によって拘禁されている。グアンタナモに今もなお収容されている400人以上の他の被収容者と同様、彼の無期限収容の合法性は、これまで一度も審理されていない。他の多くの被収容者と同様、サリム・ハムダンはキューバのグアンタナモにある米海軍基地内で、独居房に長時間拘禁されるなど、拷問を受けている。

もし他国の政府が米国市民を拘束し、拘禁に異議を申し立てる基本的権利を否定して被拘束者を何年間も無期限に拘禁したらどうなるか、想像すべきである。米国政府はその想像力をもって、人権侵害を終わらせ、1215年に制定されたマグナ・カルタにさかのぼって法原則の絶対的な支配を回復すべきである。

コロンビア特別区連邦地方裁判所のジェームズ・ロバートソン判事は、サリム・アフメド・ハムダンの「米国境外でありながら同国の管轄権内での長期の拘禁は、歴史的にみても極めてまれである」ことを認めた上で、特別軍事法廷法の合憲性の判断をしないことを強調した。しかし判事は、米国憲法の下では、これまでに米国へ入国したことがなく、同国の主権領土外で拘禁されている外国籍の被拘禁者には、人身保護請求を申し立てる権利がないと結論を下した。グアンタナモ基地はキューバから借りたもので、土地に対する最終的な主権はキューバにあるが、米国は基地とそこに収容している被収容者に対して完全な管轄権と支配権を行使している。

五年が経過した今、我々は同基地に被拘禁者を収容する米政府のもともとの理由に遡ってしまったようだ。主権について重箱の隅をつつくようなことは、国際法のけん引とはならない。これは、賃借による無法状態にすぎない。

国際人権法は、戦時および平時に適用される。国連の専門機関である人権委員会と拷問等禁止委員会が今年はじめに米国政府に述べたように、同国の人権条約上の義務は、米領土内と外の両方の行為に適用される。特別軍事法廷法とロバートソン判事の判決は、米国を国際法の誤った側に取り残すことになった。

サリム・アフメド・ハムダンは、2001年11月にブッシュ大統領が署名した軍事指令に基づく軍事法廷に、2004年7月に起訴された。サリム・ハムダンの異議申し立てに対して、連邦最高裁判所は今年6月に判決を出し、軍事法廷が違憲であるという判断を下した。この判決に対し政府と議会は、公正な裁判基準を遵守する保障なしに、新たな軍事法廷を設置する特別軍事法廷法案を可決した。

ロバートソン判事は、サリム・ハムダンは「これまでに一度も適切な裁判を受けていない」と述べた。しかし判事は、続けて次のように述べた。「ハムダンは特別軍事法廷で審理を受けることになる。これは新たに作られたものだ。議会が、彼の事件を契機として、ようやく設置したものである。・・・これ以上、人身保護の審理がハムダンの裁判を改善するのは困難であろう。」

しかし、たとえサリム・ハムダンが未だ日程が確定していない将来、軍事法廷で裁判を受けるとしても、そのような法廷が彼に対する拘禁の合法性を審査するべきではない。第二に、軍事法廷は、公正な裁判を受ける権利を保障しておらず、例えば強要された証拠の利用などを容認する。第三に、米国政府の世界規模の「戦争」パラダイムの下で、たとえ被拘禁者が軍事法廷で裁判を受け無罪となっても、彼の「敵性戦闘員」としての地位は変わらず、再び軍当局によって無期限に拘禁される危険がある。

グアンタナモに収容されているすべての被収容者は不法に収容されており、明確な根拠のある犯罪で起訴し公正な裁判に関する国際基準に沿った裁判を行うか、あるいは、さらなる人権侵害にさらされることがないよう完全な保護の下で釈放すべきであると、アムネスティはあらためて表明する。グアンタナモの収容施設は、閉鎖されるべきである。

アムネスティ・インターナショナルは、特別軍事法廷法の廃止、あるいは国際法の基準に沿った本質的な修正を求めて、活動を続けていく。

映画『グアンタナモ、僕達が見た真実』
2007年1月シャンテシネほか全国順次公開   http://www.guantanamo.jp/

アムネスティ国際ニュース発表
(2006年12月14日)
AI Index:AMR51/197/2006
 

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